りんごMAGAZINE

【わたしたちのりんご音楽祭】フェスって巡り合わせ。一生あのバンドのことを知らなかった

「フェスなんて何が楽しいの?」と思っていたけれど

 今年のりんご音楽祭が人生初フェスだったんですよ! 私って、昔はひねくれててさ。人々が行きたがる「フェス」とかいう文化をちょっと斜めから見てて。大学生の頃とかは、フェスに行くタイプの学生が苦手だったんです。社会人になっても「フェスなんて興味ありませんよ」みたいにずっと斜に構えてて。「ウェイウェイ言って何が楽しいわけ?」とか思っていました。

 でも、去年友達がりんご音楽祭に行って楽しそうにしてる様子をSNSに載せててさ。「長野の豊かな自然の中で音楽が聴ける」っていうところに、これまで持ってたイメージがちょっと覆されて。山好きだし、長野も旅行で行ったことがあって好きだったし、「行ってみるか……」って思ったわけです。

 私は、勝手に「フェス=みんながお酒を飲んで集まってウェイウェイしてる」ってイメージを持ってた。でも、行ってみたら意外とみんながみんな音楽にのってるわけじゃなくて。音楽をBGMに友達と話してる人もいるし、芝生でピクニックしてる人もいるし、昼寝してる人もいる。音楽だけを楽しまなきゃいけないわけじゃないんだってわかってよかったですね。フェスって、何しててもええんや!

普段自分が聴くタイプの音楽じゃなかったのに

 一番覚えているのが、土曜の夜のりんごステージだね。もともと出る予定だったアーティストが、当日出演キャンセルになって、ちょっと時間を早めて次のバンドが出てきたんですよ。それがAnalogfishってバンドで、一見イケオジの集団だったんですよ。
そしたら、「実は今日で結成20周年なんです」って話しはじめて。私が知らなかっただけで、この人たちは20年間の歴史を紡いできて今日ここにいるんだ!って感動しちゃったんです。普段私が聴くタイプの音楽じゃなかったのに、ステージの上のおじさんたちがすっごくかっこよく見えちゃって。演奏してる間に、メンバーの人たちが目配せとかするやん? その目線とか表情に、これまでの20年の歴史と絆を感じて……。

 たまたま私はその時間にりんごステージにいてさ、「とりあえず見とくか」って思わなかったら、多分一生あのバンドのことを知らなかったわけ。同じ時間に、違うステージに行っていたとしても、たぶん何かしらのシーンを見て似たようなことを言ってたかもしれないけどさ。そう思うと、フェスってこういうことなんだって思ったね。あの「巡り合わせ」っていうのがいいですよね。今となっては、何をそこまで「フェス」を毛嫌いしていたんだ私は、って感じです。他のフェスに行くかっていったらまだわかんないけど、りんごは来年も行きたいよ。

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