りんごMAGAZINE

【わたしたちのりんご音楽祭】「りんご音楽祭は地元の同窓会場。行けば行くほど大事なイベントになっていく」

りんご音楽祭=地元の友達と集まれる同窓会

僕にとって、りんご音楽祭に行くのは同窓会に行く感覚なんです。僕は今、東京で暮らしているんですが、地元が松本で。実家から会場のアルプス公園までは徒歩で行けるんですよ。アルプス公園でやるのがいいんだよなぁ。子供の頃にめっちゃ遊んでたところで、昔から同じ空気が流れているのに、友達がいて、いろんな人がいて、誰もが楽しそうに浮き足立っている。

りんご音楽祭に行くようになったのは社会人になってからです。20代後半になったくらいに、中学時代からの友達に「一緒に行こうよ」と誘われたのがきっかけですね。せっかくならと中学の同級生たち何人かに声をかけたら、そこからみんながさらにパートナーとか友達を連れてきて、十人くらいの大所帯になりました。岡山、名古屋、東京、長野県内各地からみんなが松本に集まってきて、同窓会みたいですごく楽しかったな。フェスが同窓会場になるってなんか不思議ですけど(笑)。

それ以来、メンバーが入れ替わりつつも毎年みんなでりんご音楽祭に行くようになりましたね。みんななんだかんだ忙しくて、地元で集まりたい気持ちはあるんだけど、「ただ遊ぶために集まるのは……」となかなか動けない部分があって。でも、「りんご音楽祭に行こうよ!」が、重い腰を上げる理由になる。

バラバラでもみんなが楽しめるのがりんごの良さ

音楽好きな中学の同級生四人組が固定のメンバーで、そこから派生して一緒に行くメンバーが年々増えている感じです。音楽が好きな度合いも、好きなジャンルもバラバラ。最初に誘ってくれたやつはめちゃくちゃコアな音楽好きで、そこそこ聴くやつもいるし、僕はライトな音楽好き。りんご音楽祭は、その度合いがバラバラでも許容されるからいいですよね。最前列でガンガンのりたい人はそうすればいいし、まったりしたい人はステージから離れた芝生で音楽を聴いているだけでも楽しい。会場でたまたま聴いたアーティストにガツンと食らって大ファンになることもあっておもしろい。友達に誘われて観に行ったSANABAGUN.が超かっこよくて、ずっと聴いています。

りんごで聴いたアーティストの曲を、毎年Spotifyに入れてプレイリストを作っているんですが、曲を再生するたびに記憶も一緒に再生されるから、東京に帰ってからも、りんごや松本の楽しい記憶を思い出すことができる。

「仕事をしている自分」と、「地元で遊んでいる自分」が混ざり合う

とにかく毎年いろんなシーンが生まれますし、年々楽しみ方が変わっていくのもおもしろいですね。僕は普段東京が拠点なんですが、最近松本の仕事も増えきているから、松本の街にもちょっとずつ詳しくなっていて。新しいジェラード屋さんとか、おやきのお店とか飲み屋さんを、りんごに集まってきた友達たちに案内できるのもうれしいですね。

松本の話から、「今どんな仕事してるの?」って話になることもあって。今までは、「仕事をしている自分」と、「地元で遊んでいる自分」は全然別だったんですが、りんごがきっかけで壁がなくなって混ざっていくのがすごく楽しいです。

りんごを起点に集まった関係性が、毎年再構築されていく

ほかにも、みんなに「姐さん」って呼ばれてる姉御キャラの友達がいるんです。いつもは頼れるしっかり者なのに、りんごの時はめっちゃテンションが上がって、たくさんお酒を飲んで、芝生でごろーんと寝ちゃう、みたいな。いつもは見られない表情を見られるのもフェスならではかな。ねえさんが芝生で寝ちゃったのはもう5年以上前の話なんだけど、今でもその話をするんですよ。「あの時に比べるとみんな年食ったよな、今年はちょっとお酒控えようか」とか(笑)。

りんごが、僕たちの定点になっているのがありがたいなと思います。大人になってライフステージが変わっていくほど、みんなで集まるのが難しくなってきますよね。でも、毎年りんごに行けば行くほど、「りんごだし、今年も集まるっしょ!」ってりんごの重要度が上がってくるんです。行けば行くほど記憶が重なっていくから、「去年はこうだったけど、今年はこうだよね」って、りんごの思い出や自分たちの変化を振り返って盛り上がるのが楽しい。

りんごをきっかけにコミュニティが広がって交わって、続いていくみたいな。りんごを起点にやわらかく集まった関係性が、毎年りんごのたびに再構築される。アメーバみたいな現象が生まれるんです。

OTHER MAGAZINE

RECENT NEWS