りんごMAGAZINE

「りんご音楽祭2025」オフィシャルレポート

2025年9月27日(土)、28日(日)の2日間、長野県松本市のアルプス公園で「りんご音楽祭2025」が開催されました。

17年目となる今年は天候にも恵まれ、前夜祭・中夜祭・後夜祭を含め200組を超えるアーティストが出演。「りんごステージ」「そばステージ」「わさびステージ」「おやきステージ」「きのこステージ」「レッドブルステージ」「すいかステージ」と、それぞれ特色のある7つのステージが登場。2日間で延べ7,000人の来場者が集まりました。

りんごステージ(撮影:古廐 志帆)
そばステージ(撮影:平林 岳志 grasshopper)
わさびステージ(撮影:Katsuki Abe)
おやきステージ(撮影:古廐 志帆)
きのこステージ(撮影:Katsuki Abe)
RedbullのDJカーによるレッドブルステージ(撮影:みやちとーる ステキ工房)
新設されたすいかステージ(撮影:みやちとーる ステキ工房)

より多くの方に楽しんでいただくため、今年はアルプス公園の南エリアへ拡大し、入場無料の「すいかステージ」と、初の公式サウナブース「りんごサウナ」が新設されました。

さらにその南側の「家族広場」では、信州のアーバンスポーツ推進プロジェクト・DIGXSとのコラボイベント「URBANSPORTS PLAYGROUND by DIGXS」も同時開催され、新しい風が吹く年となりました。

一来場者として会場を回った筆者のレポートを、オフィシャルフォトグラファーズの写真と共にお届けします。

【DAY1】わたしはわたしらしく、あなたはあなたらしく

青空の下、フェスが始まる

(撮影:みやちとーる(ステキ工房))

松本駅に降り立つと、見事な青空が出迎えてくれた。風は少しつめたく、秋の訪れを感じる。駅前発のシャトルバスに乗り込んで会場へ向かう。バスがりんご畑の横を通ると、「見て見て!」とはしゃぐ乗客の声があちこちから聞こえてくる。会場に近づくにつれて、車内のみんなの話し声がどんどん大きくなっていく。

開演の10時前に会場入り口に到着すると、すでにたくさんの人で賑わっていた。ヤマト運輸ブースのクロークサービスに荷物を預け、軽くなった身体でリストバンドを受け取り会場に入る。架け橋に飾られたモビールが、日の光をきらきらと反射させながら風に揺れている。「晴れだ~!やった~!」「行こう行こう!」と拳を空に突き上げながら、男性二人が横を駆け抜けていく。

(撮影:折井 康弘)

架け橋を渡ってすぐ、きのこステージから早速音楽が聞こえてくる。「テーマパークの入場みたいだね」と後ろにいる人たちが話している。”Everybody loves sunshine(誰もが好きな陽の光)”という歌詞に、「本当にそう!」とうなづきながら会場内を進んでいく。

わさびステージで感じる愛と自由

(撮影:古廐 志帆)

まずはわさびステージへ。今年のわさびステージは、まるで秘密基地のような装飾がほどこされていて、ぐっと非日常感が増す。オープニングアクトは岡沢じゅん。ギターをかき鳴らし、ステージ内を駆け回りながら愛の歌を高らかに歌う。開演直後だからか、まだどこかぎこちなく揺れている観客達が、「走れ~!」というかけ声と音楽に合わせて右へ左へと動き、空気がほぐれていく。

続いての演奏は、長野県を拠点に活動するシンガーソングライターの嫁みちる。今年のステートメントのタイトルである「あなたはわたしの二番目に好きな人」は、彼女の「世界の秘密」という詩の歌詞から引用されている。

手ぬぐいを頭に巻き、小さな木製の座椅子にちょこんと腰掛けてまるで周りに誰もいないかのように歌い始める。民謡のようにどこか懐かしいメロディーが、芯のある歌声と共にのびやかに空気に溶けていく。合間のMCでは、「わたしはわたしらしくいたいだけ。あなたもあなたらしく二日間を楽しんで下さい」と語りかけてくれた。

昼下がりの森の中で音が鳴り響く

さて次はどこへ行こう。木陰で楽しそうにひそひそと話すカップルや、開演直後にもかかわらず、キャンピングチェアで爆睡している老夫婦、タイムテーブルを握りしめて一人で走る人など、いろんな人を見かける。常連さんも初参加の人も、それぞれのペースで楽しめるのがりんご音楽祭だ。

池周りエリアに行くと、レッドブルステージのトップバッターであるmacaがDJ中だった。心地よいビートに揺れる人たち。そのすぐ近くで、子どもたちが虫取り網を持ってトンボを捕まえようと駆け回っている。このコントラストもまたりんごらしい。

お昼にはまだ早いけれどお腹が空いてきたので、フード出店を物色し、まず「SHALLOWBEE」でチーズステーキのホットドックを購入。大きな岩に座って、Redbullステージから聞こえてくる音に揺れながら腹ごしらえ。ついでに「VERTERE」で缶のクラフトビールも買う。

人の流れに沿って、森の中にあるりんごステージへ。田島貴男(Original Love)がステージに現れ、一人でヒューマンビートボックス、サックス、アコースティックギター、そしてコーラスを奏でていく。ついつい身体を揺らしたくなるグルーヴィーな音で、会場の温度がどんどん上がっていく。代表曲の「接吻」が流れると、腕を振り上げて叫ぶ人も。

(撮影:渡邉 和弘)

圧巻のライブが終わると、隣のりんごサブステージから「みんな~!集まれ~!」と声が上がり、長野を拠点に活躍する編集者・徳谷柿次郎とフリーライターの風音によるトーク企画「風をあつめて」が始まった。次のステージに移動しようとしていた人たちが、なんだなんだと足を止め、芝生に腰を下ろす。全4回のトーク企画、初回のゲストは長野県上田市で「ONYO LOUGE and Hostel」を開業する長崎航平。ライブとはまた違ったゆったりとした空気の中で、りんご音楽祭の裏側や長野や松本のローカルトークを展開。

トークが終わり、次のステージへと歩いているとりんご音楽祭の常連らしき人が、「りんごに来るたびに、松本住みたいって思うんだよね」と話しながら後ろを通り過ぎていく。

熱狂のステージから、夕暮れのパラダイスへ

再びわさびステージへ。りんご音楽祭のライブオーディション「RINGOOO A GO-GO」出身のバンドである浪漫革命が、今年は初出演時と同じわさびステージに帰ってきた。開演前からすでにフロアはぱんぱんになっており、まるでライブハウスにいるような気分に。まっすぐで熱いライブが始まる。日差しが強く、メンバーの額に汗が浮かんでいるのが見える。「音楽は好きですかー!?」という呼びかけに、フロア全体から「うお~~!」と歓声が上がった。気がつけば大声を出している自分がいる。

(撮影:古廐 志帆)

同じくオーディション出身の大比良瑞希は、4回目の出演にして初となる1人セットでの出演。途中のMCでは、りんご音楽祭のインタビュー企画「丸かじり!音と人」で曲づくりに対する気持ちを語ったことに触れ、「話すのはあんまり得意じゃないし、今伝えたいことはあそこに置いてきたから」と、言葉は控えめにたっぷりとライブを披露。途中、七尾旅人がゲスト出演し「ドンセイグッバイ」を歌い上げた。ステージの装飾からシャボン玉が吹き出し、音楽とともに風にのって運ばれていく。山の方から飛んできた蝶が、前方で揺れている人の頭に止まる。だんだんと日が落ちてきて、ひんやりとした風が頬を撫でる。

まだ夕方なのに、すでに満ち足りた気持ちになりながらそばステージへ。HIMI、ハタヤテツヤ、佐久麻瞬太朗によるトリオHIMIZがライブ中。優しい歌声が響く。立ち見エリアでは、たくさんの人たちが気持ちよさそうにゆらゆらと音に身を委ねている。そのさらに後方では、レジャーシートを広げた人たちがピクニック。「パラダイス」と繰り返す歌詞があり、みんなが噛みしめるようにうなづいていた。

(撮影:折井 康弘)

新ステージ・すいかステージをそれぞれの過ごし方で

池の周りエリアへの「tasogare coffee」でキャラメルラテを買い、新ステージのすいかステージに行ってみる。南側の受付には、「さんぞくステージ」と張り紙があり、スタッフがDJをしていた。小躍りしながら通り抜ける。

すいかステージでは、長野市を拠点に活動するIKUMAがDJをしていた。徐々に日が暮れていく中で、昼のリラックスムードから少しずつクラブのような雰囲気に変わっていく。体を揺らす人、芝生に寝そべる人、本を読む人、友だちと喋る人。それぞれがゆったりと音楽を楽しんでいる。奥の「りんごサウナ」では、サウナから湯気をまとって出てきた人たちが外気浴をしている。カオスなのに、なぜかしっくりくる光景。

(撮影:みやちとーる ステキ工房)

今日は一日歩き回っていたので、ステージから少し離れたところで芝生に寝転んで聴いてみる。ここは入場無料のエリアなので、一般の公園の利用者が犬の散歩をしながら通り過ぎることも。

せっかくなので、公園内を散策してみることに。少し奥へ進むと、見晴らしのいい丘に来た。安曇野市街地と、その向こうの山並みが一望できる。ぽつぽつとレジャーシートを敷いた人たちが昼寝をしている。ちょうど夕陽が沈むタイミングで、しばらくぼーっと景色を眺めていた。自分がフェスに来ていることを忘れるほど、穏やかな時間が流れる。

夜の帳が降りて別世界へ。大きな音のうねりの中で

すこしずつ辺りが暗くなってきた。昼間とは会場の空気ががらっと変わる。りんごステージに向かって歩いていると、Redbullステージで今年度のステートメントポスターのイラストを手がけたアーティストでもある雪下まゆがDJをしていた。音に吸い寄せられて、DJカーの周りに人が集まっていく。遠巻きにゆらゆらと揺れてみる。

りんごステージに到着。ステージから離れた芝生に腰掛ける。すっかり暗くなった森の中に、鈴虫の鳴き声が響いている。今年はバンドセットで出演となる奇妙礼太郎BANDのライブが始まる。一曲目からそんなに全力でいいのかと心配になるほど、腹の底から歌い上げていて、ゆったりと座って聴くつもりが思わず立ち上がって前方に移動してしまった。

(撮影:前田 俊太郎)

ステージの転換では、松本を拠点に活動するDJ bmbrがりんごサブステージに出演。松本からの地元客らしきグループが、「bmbr応援隊!行こう!」とステージ前に駆けつけて踊り始める。思わず身体を揺らしたくなるような気持ちのいい音が流れ、サブステージ前があっという間に夜のダンスフロアに。少し踊ってから、夕飯を食べに池の周りエリアへ。「信州マルニ松本&えん屋」の塩バターまぜそばを頬張る。だいぶ冷え込んできたので、温かいフードが沁みる。

(撮影:渡邉 和弘)

そばステージのトリは、GOMA & The Jungle Rhythm Section。オーストラリア先住民アボリジニの伝統的な楽器であるディジュリドゥを演奏するGOMAを中心とした怒濤のリズムセッション。ディジュリドゥと打楽器の音から生まれる大きなうねりが夜のステージ全体を包み込む。一日歩き回って疲れているはずなのに、自然と身体がリズムを刻み、大きな声を出していた。まるで自分が楽器になったみたいだ。

まだまだパーティーは終わらない

半ば放心状態になりながらステージを後にする。出口に向かって坂を下りていたら、なにやら楽しそうな声が。近づいてみると、カラオケスナック「スナックリリー」でQUEENの”Don’t stop me now”を熱唱している人たちが。ここもりんご音楽祭の一つのステージ。思わず足が止まる。続いてスタッフのバニーガールたちが平成のヒットソングを歌い出し、帰ろうとしていた人たちが懐かしいメロディーに引き寄せられて踊り出す。まだまだ夜は終わらない。

(撮影:前田 俊太郎)

会場の外に出ると、大きな花火が上がった。バスやタクシーを待つ人たちから「おぉ~」と歓声が上がる。シャトルに揺られて松本駅前に到着。駅前のホテルにチェックインし、二日目に備えて泥のように眠った。

【DAY2】大丈夫、みんなりんごになりますから

二日目も快晴、カオスで愉快なオープニング

(撮影:前田 俊太郎)

開演直後に会場に到着。初日に続き天気は快晴。架け橋を渡っていると、きのこステージからDJ CALPISSのかける「ゲゲゲの鬼太郎」が聞こえてくる。天気に反しておどろおどろしい雰囲気が漂い、初っぱなからなんでもありなカオスさが楽しい。

木漏れ日の中を抜けてそばステージへ。すでにたくさんの人がステージに集まり、ゆったりとshowmoreの歌を聴いている。朝ご飯を食べずに来たので、「kashi ichi」でアイスコーヒーとアップルパイ、パウンドケーキを買い、芝生に座って音に揺れながら食べる。

続いてわさびステージへ。りんご音楽祭のライブオーディション「RINGOOO A GO-GO」から選出されたアーティストのtime:)allowsのライブがちょうど始まったところだった。軽快かつグルーヴの効いた心地よいサウンドがステージ一帯に広がり、観客たちの体温をあげていく。ずっと浸っていたくなる、贅沢な時間。

レッドブルステージでは、昭和歌謡DJ おかめがプレイ中。レコードの甘い音色に誘われて、ひとりまたひとりと人々がステージ前に集まって踊り出す。

(撮影:前田 俊太郎)

りんごステージへ。長野県出身の男女二人組ロックバンドGLIM SPANKYが、今年もアコースティック2人編成で出演。疾走感のあるロックに続き、りんご農家を描いた映画「実りゆく」の主題歌「By Myself Again」を披露。やさしいカントリー調のメロディーに、のどかな田園風景が浮かぶ。

(撮影:古廐 志帆)

あっという間にお昼時。そばステージに移動し「やんぐ」のトムヤムトマトラーメンと、「Interplay Brewing」で長野県のクラフトビールを購入。芝生にシートを敷いて、ライブを聴きながら食べる。台湾から出演のインディーロックバンド・イルカポリスは、りんご音楽祭出演が日本ツアーの初日だそう。歌詞はわからなくても、ポップなメロディーに心が躍る。

踊る阿呆に見る阿呆。同じ阿呆なら?

会場内をぐるぐると歩く。レッドブルステージに人だかりができていた。近づいてみると、人々がわいわいと「イカ踊り」を踊っている。さっきまでいたステージの雰囲気とは一転し、ザ・日本の祭り!という独特の熱い空気。自分も輪に加わって踊る。

輪の中心にいるのは、珍盤亭娯楽師匠(DJwaterdamage)。元祖DJ盆踊りの名の通り、「イエローサブマリン音頭」に「おんど笠岡」と、どんどんお祭りの渦にフロアを巻き込んでいく。初めは遠巻きに見ていた人も、一歩近寄って踊り出すとみんな笑顔に。「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃソンソン」という言葉が頭に浮かぶ。

(撮影:前田 俊太郎)

踊り疲れたので、りんごステージのオフィシャルドリンカーに行きレッドブルを買う。スタッフの女の子が、笑顔で「楽しんで下さい!」と渡してくれた。ついでにJAのブースでりんごを買って丸かじり。

りんごステージはすでにお客さんがぎっちり。ステージ後方の木陰になんとか入り込む。お父さんに肩車された小さな女の子達がちらほらといる。

水曜日のカンパネラのライブが始まる。まずはサウンドプロデューサー・ケンモチヒデフミが恐竜の着ぐるみに乗って陽気に登場し、DJブースに立つ。最初の曲のイントロが流れると「こんにちは~!水曜日のカンパネラです。今日はステージじゃなく右側から登場でーす」とどこからかボーカルの詩羽の声が聞こえる。どこにいるんだろうとキョロキョロしていたら、急に目の前に詩羽が現れ、「通るね~!」と過ぎ去っていった。ざわめく観客たちの間を練り歩きステージへ。ステージ上で自由に歌い踊る姿に、すっかり心を掴まれてしまった。

(撮影:みやちとーる ステキ工房)

常夏ムードと不思議な出会い

ふたたびレッドブルステージへ。タイポップDJ817が曲の解説と共にタイポップでフロアを盛り上げる。松本にいるはずなのに、すっかり常夏ムードに。

少し離れたところで踊っていたら、ミラーボールを持ったお姉さんがいつの間にか隣で一緒に踊っていた。目が合うと、「もう最高!DJ817大好きなの」と半泣きでにっこり笑ってくれた。こういう不思議な出会いがあるのも、りんご音楽祭の面白さだと思う。

(撮影:古廐 志帆)

たくさん踊ったので、ちょっとゆったりしようと南エリアへ。すいかステージでは、ヴィーナス・カワムラユキが芝生に座ってリラックスモードでDJ中。途中、よちよちと近づいてきた子どもがDJテーブルをスクラッチするハプニングがあったが、あたたかい笑いと拍手が起きた。お客さんたちが踊り始めると、それに呼応する形で音は鳴ったまま急遽スタンディングスタイルにセットチェンジ。盛り上がりが増していく。

(撮影:古廐 志帆)

夜が更けるにつれて熱気が増していく

すっかり夜が更けてきた。会場内をうろうろと歩き、夕飯に「ぽっぽ屋」でチーズオム焼きそばを買う。おやきステージに行くと、元祖ライブアイドルグループのせのしすたぁのライブが始まったところだった。肌寒いくらいの気温なのに、ステージの周りは熱気がすごい。

(撮影:みやちとーる ステキ工房)

ステージから少し離れた丘の上で焼きそばを食べていたら、「スナックリリー」のバニーガールたちがハブ酒を売りに来た。普段はショットのお酒は飲まないけれど、せっかくなのでいただく。その場にいた人たちと乾杯。

座り直そうとしたら、「一緒に行こうよ!まだまだこれからだよ!」とそばステージに誘われたのでついていく。ちょうどKID FRESINOのステージにC.O.S.A.が飛び込んだところだった。ステージの熱狂に身を任せて、一緒に身体を揺らす。

(撮影:Riku kawahara)

誘ってくれた人たちとお別れし、わさびステージへ。2024年のりんご音楽祭のライブオーディション「RINGOOO A GO-GO」でグランプリに選ばれた安次嶺喜和子を観に行く。異国の歌姫のような衣装に身を包んだ彼女の幻想的な歌声が、夜の闇の中に溶けていく。ステージの後ろの木々の隙間からは細い月が見えた。

(撮影:前田 俊太郎)

最後にどのステージを観るか迷う。ひとまずりんごステージに向かって歩いていると、おやきステージでクリトリック・リスのライブが始まったところだった。ユニコーンの浮き輪の上に誰かが担ぎ上げられている。本人かと思ったが、知らないおじさんだった。音楽に合わせ、次々と男性達が上裸になっていく。遠巻きに観ていたら、さっと人がはけてクリトリック・リスが目の前までやって来た。そのままスタッフ用の自転車に飛び乗り、数秒乗り回してからまたステージに戻っていく。

(撮影:みやちとーる ステキ工房)

結局最後の「Don’t Look Back In Anger」の大合唱まで観てしまった。横で一緒に観ていた演者らしき人ふたりが、「じゃあ、行きます。また来年!」「来年呼ばれるかわからないですけどね」「絶対呼ばれますよ!」と固い握手を交わして去って行く。

最後の一瞬まで踊り続けて、みんなでりんごになる

帰路につく人たちの間を抜けて、そばステージへ。松本出身のダンサー・アオイヤマダと、高村ツキによるユニットのアオイツキ。てっきりステージでダンスをするのかと思っていたら、客席に小さな木のステージが設置され、観客達が地面に座って二人を取り囲むように座る形に。

(撮影:平林 岳志 grasshopper)

ぽつぽつと紡がれる言葉をみんなでじっと聞く。かと思えば、二人はマイクを持って客席を練り歩き、「あなた、りんごですか?」「大丈夫ですよ、みんなりんごになりますから」と問いかける。最後はみんなで「りんご~りんご~」と唱えながら、輪になってぐるぐると回った。自分が一体なにをしているのかまったくわからない。でもなぜかみんなと一つになった気がして安心する。

(撮影:平林 岳志 grasshopper)

まるで長い夢のようなステージが終わると、「sleeperさん(りんご音楽祭の主催者)がきのこステージでまだDJしてるんだって」「行っちゃおうか。みんなで行こう!」という二人の呼びかけにより、そばステージにいた大勢の人たちがふたたび呪文のように「りんご~りんご~」と唱えながらきのこステージへ大行進。

そばステージからきのこステージは、10分弱の距離がある。「本当にまだDJは続いているのか?」と不安になってきた頃、前方から音楽が聞こえてきた。「やった!行こう!」とみんなが走り出し、そのままきのこステージになだれ込む。

(撮影:前田 俊太郎)

その瞬間、テクノ調だった曲がディスコ調に変わった。中にいた人たちは、「何事!?」と驚きながら受け入れてくれた。きのこステージの小さなテントの中で、みんなでもみくちゃになって踊る。熱気で蒸し暑い、でも気にしない。誰もが「この時間がずっと続けばいいのに」と思っているのが伝わる。

(撮影:平林 岳志 grasshopper)

21時になると、プツッとDJが終了となった。「みんなありがとう!来年もよろしくね!」というdj sleeperの挨拶に被さるように、終演の花火が上がる音がする。みんなでわらわらとテントの外に出て、夜空と花火を見上げた。

(撮影:前田 俊太郎)

コロナ以降、2022年から毎年参加しているりんご音楽祭。4年目の参加となる今年は、内心「りんご音楽祭のことはもうわかっている」と思っていた。しかし、全くそんなことはないと思い知らされる2日間だった。「なんだこれは!」と心が揺さぶられる瞬間に溢れていた。

それはきっと、単に新しいエリアやステージが増えたからだけではない。演者や作り手、そして参加者ひとり一人の「この場所を、この時間を心から楽しみたい!」という気持ちが作り出す魔法みたいなものなのかもしれない。

来年もまたここに帰ってきたい。りんご音楽祭が、そして自分がどう変わっているのか。どこが変わらずにいるのかを、また見届けたいと思う。

「りんご音楽祭2025」開催概要

『りんご音楽祭2025』
日程:9月27日(土)28日(日)
開場9:00/開演10:00/閉演20:30/閉場21:30
会場:アルプス公園(〒390-0861 長野県松本市蟻ケ崎2455番地)

<ステートメント>

『あなたは私の二番目に好きな人』

大きい絵を何枚も何枚もずっと描いてる人がいたんです。
正直、良くはないなと思っていて、周りもそんなふうに感じているようでした。
でも、筆を動かすその人はすごく楽しそうで、
それを見ているうちに「ああ、幸せってこれだよな」としっくりきたのを覚えています。

幸せかどうかに他人の評価は関係ないはずなのに、
ついつい気になっちゃうのはなんでだろう?

「ふつう」とされてるものと自分を比べてしまう。
これ、もう辞めたい。
せめて楽しいパーティーの間だけでも。

褒められるような人生じゃなくても良いじゃん。
僕の成功や失敗も、昨日の夢も、今、実は機嫌が悪いのも、
本当は誰も気にしていないんだから。

私がわたしを一番好きでいたい。
あなたは私の二番目に好きな人。

りんご音楽祭実行委員会

出演アーティスト第1弾(五十音順):
アオイツキ[アオイヤマダと高村月]
安次嶺希和子
荒谷翔大
掟ポルシェ
踊ってばかりの国
奇妙礼太郎BAND
クリトリック・リス
GLIM SPANKY(Acoustic Set)
GOMA & The Jungle Rhythm Section
水曜日のカンパネラ
dj sleeper(りんご音楽祭)
せのしすたぁ
ZOMBIE-CHANG
DYGL
FUCKSCUMPUNK[中村達也, 中尾憲太郎, KenKen, 一楽儀光]

出演アーティスト第2弾(五十音順):
あっこゴリラ
Adee A.
aryy
Campanella
C.O.S.A.
CYBER RUI
サニーデイ・サービス
showmore
ZIN
TENDRE
どんぐりず
hamma
PM Kenobi
フルカワミキ÷ユザーン×ナカコー
Michael Kaneko
よいまつり

出演アーティスト第3弾(五十音順):
ENTH
ONI&SUPERFUNCY
CALPISS
Cityboy from Seoul(from 韓国)
食品まつり a.k.a. foodman
Seiho
Taro Aiko from M.A.S.F.
Texas 3000
Track’s
DJ817
バケツドラマーMASA
PK shampoo
RHYDA&snuc
Ramza
LEF!!!CREW!!!
浪漫革命

出演アーティスト第4弾(五十音順):
ヴィーナス・カワムラユキ(渋谷花魁)
折橋栄一(Momentom)
XTAL
soguragura
TAKU(Switch)
7e
Frogmadedrug[Manga Sick & avys]
bmbr
marin
MICKSOUTH
YU
雪下まゆ
Ochiro【Live Painting】
J【Live Painting】
NICOMACHI【Live Painting】
HOLHY PAINT WORKS【Live Painting】

出演アーティスト第5弾(五十音順):
危NICEボーイズ
KID FRESINO
KK
kZm
TOMMY(BOY)
TORAUMA
NIKE
NENE(ゆるふわギャング)
Frankie Paris
MARZY
RHYMESTER
Rave Racers
Jasmine(Mnchr-m/A.N.D.)【Dancer】
Yacheemi(餓鬼レンジャー)【Dancer】
COCORO【Reggae Dancer】
tasty【Floor Bitch】

出演アーティスト第6弾(五十音順):
amapinight
ALTZ
YELLOWUHURU
オカダダ
Sapphire Slows × DJイェイイェイ!ウォウウォウ!
CYK
suimin
SEI(bar bonobo)
NEWきんぎん
FULLHOUSE
DJ MAMEZUKA
VJ mitchel【VJ】
光線クラブ【Laser】
ALi(anttkc)【Lighting】
熱帯配線部隊 a.k.a DJ KIM【Lighting】
396【Lighting】

出演アーティスト第7弾(五十音順):
井上園子
イルカポリス(from 台湾)
滝口優作
田島貴男(ORIGINAL LOVE)
DSPS(from 台湾)
二兆円
NATURE DANGER GANG
ぱっぢ
HAPPY
花形ハヤシ
DJ.花見 
BREIMEN
前野健太
MAKARA(from THAILAND)
三宅洋平 with 赤須翔
yonige

出演アーティスト第8弾(五十音順):
愛染 eyezen
UntyAbes
AAAMYYY
N.S. DANCEMBLE
おかめ
工藤祐次郎
DJ KRUTCH
Jambo Lacquer & ブギ丸 & チプルソ(WARAJI CREW)
SUGAR SOUL
Skaai(Band Set)
SPARK!!SOUND!!SHOW!!
☆Taku Takahashi(m-flo, block.fm)
宙J FDFANTA汁CHILLSTASKI
七尾旅人
DJ HASEBE
MonyHorse

出演アーティスト第9弾(五十音順):
岡沢じゅん
HIMIZ
藤山拓
Paledusk
【RINGOOO A GO-GO 2025選出アーティスト】
ajiheng
あたまたんさん
TiDE
time:)allows
人形人間
brooks
MAINAMIND
マジカルチョコミントクラブ
Mutt Avenue
Monomi twins
ヨアケノユメ
ロマンチック中毒

出演アーティスト第10弾(五十音順):
AKIRAM EN
イルリメ
大比良瑞希
KING BROTHERS
keigo
Jun Kamoda_sp404
TENDOUJI
NOT WONK

出演アーティスト第11弾(五十音順):
maca
DJ MAYURI(metamorphose)
rad101(from France)
YES【Live Painting】

出演アーティスト第12弾(五十音順):
IKUMA(ERA Barber Shop)
N ²(きゅんです)
オカタ゛
Shaeda a.k.a Jun
jam fuden
Sincere
ZEN-LA-ROCK a.k.a. COMBINATE FUTURE
珍盤亭娯楽師匠(DJwaterdamage)
TIVE
HIRAKU YAMAMOTO(NABOWA)
13un
MEME
masato
山仁
嫁みちる
RYUSEI
rudie
Warbo
BOXER(TABASCO, MAKARA)【Dancer】
徳谷 柿次郎【TALK】
長崎航平【TALK】
風音【TALK】
CALMA(Ryo Okamoto)【TALK】
sambo saun × サウナパーク presents りんごサウナ【テントサウナ】
<RINGOOO A GO-GO>
Kommune
Summer Juice
Nibi
RYECROFT

アーティスト発表第13弾:
神(シン)ヤマン【TALK】
早野充(景色)【TALK】
SNACK LILY【カラオケスナック】

以下、夜の部のみ出演のアーティスト-
DJ MKY a.k.a 三宅洋平
赤須翔
GLORY MOUNTAIN SOUND
Takulow
BZN
縛篩

massive
マヨイ【Live Painting】
MARU-AI
Ollie
Kitaro yvng jet
Dr.ilda
P-three
PAO
BAAB
18sano
MVMA
Lxathe9
RYOTA
TAMUKEN
KEIGO
YUITO
ΔexΔt>h/4Π[DJイェイイェイ!ウォウウォウ! × 雪下まゆ]
Takumi’s Afterparty
聖体泥棒
MARINA
仙道
AGE-POYO
AKKO
yyyuki
Private School
Rat
K-TRACK
Kae
Hinano&June【Dancer】
Dealers Rush【カジノ at 夜の部GNU】

「りんご音楽祭2025夜の部」
at CENTURY MAXIMビル 4階&5階
〒390-0815長野県松本市深志1-2-15/09093453240

9/26(金)『前夜祭』19:00-2:00
当日のみ¥3,000(ステッカー付・ドリンク別)

【KAREN pre. at GNU(4階・受付)】
LIVE:
TORAUMA
Frankie Paris
KK
keigo
hamma
Ollie
P-three
PAO
BAAB
MARU-AI
18sano
MVMA
lxatha9
Dr.ilda
Kitaro yvng jet
DJs:
bmbr
YUITO
RYOTA
TAMUKEN
KEIGO

【RB “Riddim & Beats” pre. at club INNERSIDE(5階)】
LIVE:
赤須翔
PM Kenobi
Warbo
危NICEボーイズ
BZN

Takulow
縛篩
SOUND:
GLORY MOUNTAIN SOUND
DJs:
DJ MKY a.k.a 三宅洋平
rudie
massive
LIVE PAINTING:
マヨイ

【Frogmadedrug pre. at カーリーレコード(5階)】
LIVE:
Track’s
DJs:
食品まつり a.k.a. foodman
suimin
ΔexΔt>h/4π(DJイェイイェイ!ウォウウォウ! × 雪下まゆ)
Frogmadedrug[Manga Sick, avys & ayuki]

9/27(土)『中夜祭』22:00-4:00
当日のみ¥3,000(ドリンク別)

【TROPICAL WAV. pre. at GNU(4階・受付)】
DJs:
どんぐりず(DJ SET)
Rave Racers
Seiho
LEF!!!CREW!!!
PRIVATE SCHOOL
yyyuki
AKKO
カジノ:
Dealers Rush

【RUBYROOM pre. at club INNERSIDE(5階)】
LIVE:
山仁
愛染 eyezen
RHYDA&snuc
DJs:
聖体泥棒
Takumi’s Afterparty
AGE-POYO
MARINA
仙道

【四不象 pre. at カーリーレコード(5階)】
DJs:
CYK
YELLOWUHURU
Sapphire Slows
maca × MICKSOUTH

9/28(日)『後夜祭』22:00-6:00
当日のみ¥3,000(ドリンク別)

【FULLHOUSE × amapinight pre. at GNU(4階・受付)】
DJs:
MARZY
amapinight
FULLHOUSE
カジノ:
Dealers Rush

【HANGOVER pre. club INNERSIDE(5階)】
LIVE:
C.O.S.A
Campanella
jam fuden
&more…
DJs:
Ramza
NIKE
TAKU
K-TRACK
Kae
Rat
&Good frends
Dance showcase:
Hinano+June

【dj sleeper pre. at カーリーレコード(5階)】
DJs:
ALTZ
DJ MAMEZUKA
AKIRAM EN
Cityboy from Seoul(from 韓国)
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