【りんごよりみち】「男でも女でも何かでも、クラブは『人と人』として受け入れてくれる」 〜DJ tastyと歩く松本〜
野外音楽フェスなのに、「街」に近いフェス、りんご音楽祭。本連載「りんごよりみち」では、松本在住のりんご音楽祭出演アーティストに街案内をしてもらいます。
第9回のゲストは、ドラァグクイーンであり、DJでもあるテクノPOPなパフォーマーtasty(テイスティー)さん。生まれ育った松本の街を歩きながら、tastyさんが形作られるまでのストーリーを聞きました。
①「松本市美術館」で草間彌生作品と向き合い、エネルギーのギブアンドテイク
tastyさん まず最初にご案内したいのが、松本市立美術館です。私はアートが好きなのでいろいろな美術展に行くんですが、中でもこちらで観られる草間彌生さんの常設展は定期的に訪れたくなりますね。
ーー今日のtastyさんの水玉のファッションは、草間彌生さんの作品のオマージュでしょうか。
tasty そう!今日の衣装は、草間彌生さんへのリスペクトの気持ちを込めて選びました。
ーー素敵です。草間彌生さんは、松本出身なんですよね。
tastyさん そうなんです。あれだけの作品が、いつでも当たり前に観られるというのは本当にすごいことですよ。草間彌生さんは、「ドットの女王」と呼ばれたり、ハイブランドとコラボしたりと華々しい部分を捉えられがちだけれど、あの方は結構壮絶な生涯を送ってらっしゃるの。私は、その生き様も含めて彼女の作品の持つパワーに惹かれていますね。
ーーポップなイメージがありましたが、間近で見るとパワーを感じますね。
tastyさん 彼女の作品の前に立つとね、パワーを貰うと同時に、自分の一部が持っていかれる気がするよね。ギブアンドテイクですね。気がついたら、何十分間も一つの作品の前に立ち尽くしているなんてこともあるくらいなんですよ。私にとってのパワースポットです。
②憧れから飛び込んだファッションの世界。思い出の詰まった「松本パルコ」
tastyさん 松本でお買い物といったら、やっぱり松本パルコですね。私が若い頃は、パルコは本当に憧れの場所でした。今よりもっとブランドのテナントがたくさん入っていたし、どこか敷居が高いというか気軽には入りづらいイメージがあったくらい。気合いを入れて足を踏み入れる場所でした。
ーー今でもお買い物にくることはありますか?
tastyさん もちろんありますよ。でも、松本パルコは2025年に閉店することが決まっているんです。見て、「O」のネオン管が切れてるのに、そのままになってるでしょう。歴史を感じるのと共に、あぁ、あの子はきっともう元のように輝く事もなくこのまま最後の時を迎えるんだろうなぁ。なんて想像したら、もうすぐ無くなってしまう実感が湧いてきて、なんだかノスタルジックな気持ちになるでしょ?(笑)
ーーこれだけ存在感のある場所がなくなってしまうというのは切ないですね。
tastyさん 実は、私は若い頃ずっとパルコで働いていたんです。だから、余計に切なくなりますね。
ーーそうだったんですね。当時は何のお仕事を?
tastyさん アパレルのお仕事をしていました。10代の頃からずっとファッションが好きだったから、好きなら仕事にしてしまえばいいと思って飛び込んだんです。でも、アパレルのお仕事は過酷でね。今はどうかわからないけれど、どれだけ華やかに見えてもお店に立つ人なんて本当にもう貧乏で。そんな現実を知ることになりましたね。「好き」という気持ちだけでは続けられなかった。
ーーなるほど……。
tastyさん それでも、お店自体は何軒か変わりつつもパルコで十年以上働いていましたね。憧れも、辛さも知った場所です。それが今やどんどんテナントさんが減ってしまって、ついには閉店しちゃうんだから。パルコが閉店した後の松本がどうなるのか楽しみでもありますが、やっぱりちょっと寂しくなりますね。
③旧繁華街・裏町の隠れ家的バー「昭和酒バァ1ジュ(わんじゅ)」
tastyさん 「昭和酒バァ1ジュ」は、松本の裏町にあるお店です。裏町は、市街地からは少し離れているんだけど、かつての繁華街でね。昔は歩いている人と肩がぶつかるくらいに人がぎゅうぎゅうだったと言われています。今はすっかり廃れてしまったけれど、いろいろと面白い飲み屋さんがあるんですよ。
ーー「昭和酒バァ」というのは……?
tastyさん 入ったらわかりますよ。こんばんは〜。
ーーわぁ、昭和アイテムがぎっしり!
かーたんさん てっちゃん、いらっしゃい!わ〜、tastyの姿で来てくれるのははじめてじゃない?
tastyさん たしかに、そうかもね。こちら、「1ジュ」の店主のかーたん。「1ジュ」は9周年目を迎えたお店で、いつもふらっと来ては楽しく飲ませていただいています。かーたんとは、もう30年以上の仲よね。
ーー30年!? ということは、お二人は「1ジュ」のオープン前からのご友人で?
かーたんさん 馴れ初め、聞いちゃう? そうなんです。僕はね、高校生の時にてっちゃんと出会ったんですよ。当時のてっちゃんは、もうとにかくかっこいいパルコの店員さんで、憧れの存在でした。僕のファッションは、全部てっちゃんから教わったと言ってもいいくらい。
ーーえ〜!パルコ時代から!さっきパルコも案内していただきました。
かーたんさん とにかく「この人みたいになりたい!」と思って、お小遣いを握りしめてはてっちゃんのお店に服を買いに行っていました。今でも覚えてるのが、差し色! 僕が20歳前後の頃って、とにかく黒いお召し物が流行ったんですよ。誰も彼も全身黒のアイテムで着飾っている中で、てっちゃんは、一見全身真っ黒ファッションにどピンクのインナーをチラ見せさせていて……。「これがおしゃれか!」って、もう衝撃でしたね。本当にかっこよかった。
tastyさん ちょっと、もう、そんなことないよ(笑)。でもそう言ってくれてありがとうね。
かーたんさん 最初は店員さんとお客さんだったところから、だんだんお話するようになって、パルコを辞めてからもずっとかわいがってもらっていて。「1ジュ」をオープンしてからもよく来てくれてね。
ーーちなみに、「1ジュ」さんはどうして駅前ではなくて裏町にお店を出されたんですか?
かーたんさん もう本当に、いい意味でも悪い意味でも目立ちたくなかったの。「裏町でお店をやるなんて食っていけない」なんて言われたこともあったけど、「何を言われても絶対負けない!」みたいな気持ちも実はなかったんですよね。知ってる人が遊びに来てくれればいい、ひっそりこっそりと秘密基地的にやりたいなと思って。
ーーなるほど。そこから10年近くお店が続いているんですね。
かーたんさん てっちゃんね、僕が「1ジュ」をオープンしてから毎年、うちの周年のたびに桜の枝を送ってくれるんです。
ーー桜の枝を?
かーたんさん うちの周年ってね、2月なんですよ。松本はまだ寒くて、雪が降る時もあるくらい。でも、店の中は暖房であたたかいでしょ? 店内に枝を飾っておくと、蕾が花開くんですよ。だから、松本の中で一番最初に桜が開花するのってたぶんうちなんです。粋でしょ〜?
ーー素敵なお祝い!かっこいいですね。
かーたんさん 10代の頃に、すっごく憧れていためちゃくちゃかっこいい人が、今も変わらずめちゃくちゃかっこいい姿で街にいて、身近な存在でいてくれる。本当にありがたいことですよ。
④ノーボーダーな松本のミックスパーティー「松本BOND」
tastyさん 「松本BOND」は、毎年6月と12月に「SONIC」で開催されているミックスパーティーです。私は初期の頃から毎年DJとして参加させてもらっています。
ーーミックスパーティーというのは?
tastyさん ゲイオンリーではなく、全てのセクシャリティの方が参加できるノーボーダーなパーティーのことです。私みたいな松本の人はもちろん、全国からいろいろなドラァグクイーンさんやGOGOボーイ、DJが集まってショーをするんですよ。
ーー松本には、tastyさん以外のドラァグクイーンの方はいらっしゃるんですか?
tastyさん 表に出てくれているドラァグクイーンは、マリー☆マンコワネットさんくらい。あとは、女装家さん(※本当はこの呼び方は好きでは無いのですが)のマトン・ド・ワカコさん。松本はなかなかドラァグクイーンの後継者が育たなくてね。これまでドラァグクイーンの方は何人かいらっしゃったんだけど、みんな東京に出たり、引退してしまったり。
私はカミングアウトしているし、家族も私が「tasty」であることは知っているんだけど、みんながみんなそういう環境じゃないから地方都市で活動を続けていくのは難しいよね。だからこそ、「松本BOND」みたいなパーティーはこれからも続いていってほしいなと思っています。
ーー「松本BOND」は、どんな経緯で始まったんですか?
tastyさん 「松本BOND」のオーガナイザーの一人であるMUNEさんが松本ご出身なんです。普段は東京で活動されているんだけどね。そして、もう一人のオーガナイザーがこちら、「SONIC」の卓ちゃんです。
卓郎さん どうも、こんばんは。tastyには、出演者やMUNEさんとのつなぎ役になってもらっていて。tastyがいなかったら毎年続けられませんよ。本当に感謝しています。
「BOND」はもともと、東京からの持ち込み企画で、場所貸しだけ&ゲイオンリーのクローズドなパーティーだったんです。僕たちスタッフ以外、ストレートの人は入れなかったんですが、ショーやパーティーが楽しすぎて衝撃を受けて。「これはもっとみんなに広めたい!」と思ったんです。「BOND」自体は、松本で続けるには厳しいと何年か目で途絶えてしまったんですが、僕から「松本側で主催・運営をするから続けましょう」とお願いしたんです。
tastyさん それ以来、「松本BOND」という名前になって、誰でもウェルカムなミックスパーティーとして毎年開催されているんです。コロナの間はちょっとお休みしていたけれど、2022年からまた復活して。
卓郎さん これからもよろしくお願いしますよ。頼りにしています。Tastyあっての「松本BOND」ですから。
tastyさん それは本当にこちらこそです。
tastyさんは、りんご音楽祭には例年会場を華やかに彩る“floor bitch”として出演しています。“すっぴん”でDJをしていたところから、「tasty」が生まれるまでのストーリー、アーティストとしての活動や松本への思いを聞きました。
女装なら、枠に縛られず自分の好きなファッションが楽しめる
ーーtastyさんは、いつから今のお姿に?
tastyさん もうね、女装も始めてからはかれこれ16〜17年ぐらいになるんですよね。それまでは、ずっと別の名義ですっぴんでDJをやっていて。それである時、友達が新しくパーティーを始めるっていうことでDJを頼まれたんだけど、「ちょっと面白いことやりたいんだよね。何かできる?」って言われて。それで、「じゃあ女装でDJやってみてもいい?」って提案したんです。「いいよ!」と受け入れてくれたので、女装名も考えなきゃということで、「tasty」という名前をつけた。それが始まりですね。
ーーきっかけは「何か面白いことをしてほしい」というオファーだったのですね。そこから、「tasty」としての活動が続いていったのはどうしてですか?
tastyさん そもそもね、若い頃にクラブで見ていたドラァグクイーンさんたちにすごく憧れがあったの。リスペクトと同時に、すごく興味があって。なんでかというと、私はすごくファッションが好きなんです。特に、レディースのファッションが好きだったんですよ。最近はジェンダーレスなファッションも出てきたけれど、メンズとレディースのファッションって全然違うじゃない? メンズだと、シャツと上着とパンツくらいしか選択肢がなくて、圧倒的にレディースの方が選択肢が多い。
ーーなるほど。女装なら、枠に縛られずに自分の好きな格好ができると。
tastyさん そうそう。これなら好きな格好がいっぱいできるなという思いがあって。私は恋愛対象が男性なだけで、女の子になりたいから女装をしているわけではないんですよ。だからといって女の子が嫌いなわけでもないしね。それに、私はDJができるから、DJであることを武器にできたら、スキマ産業的にニッチな部分で活躍できるんじゃないかなと思ったんです。
ーーそもそも、tastyさんがDJを始めたのはどうしてだったんですか?
tastyさん ファッションを好きになるよりも前から、すごく音楽が好きで。昔から、ピアノを習ってみたり、ベースを弾いたりといろいろと音楽に関わることをしていたの。それで、当時私とつるんでくれていた信州大学のお兄さんが松本のクラブに連れていってくれたんですよ。みんなが楽しく踊っている、その空間がすごく楽しくてね。ダンスミュージックって楽しいんだなと知ったの。
それからクラブに遊びに行くようになったんだけど、なんだかちょっと物足りなくなってきちゃって。自分がDJをしたら、自分の好きな音楽ばっかりずっと聴いていられるじゃん、と思ってターンテーブルに触り始めましたね。
ーー踊るよりも、自分がDJをした方が楽しそうだぞ、と。
tastyさん そう。単純なきっかけでね。でも、当時はまだアナログレコードが主流だったからDJをするのは結構大変だった。今ほどレコードが流通していないし、オンラインの通販なんてものもないから、休みのたびに東京に出て、渋谷にレコードを買いに行っていましたね。
りんご音楽祭の会場に花を添える“Floor bitch”という役割
ーー東京までレコードを買いに通うのは大変そうですね。tastyさんは、地元は松本ですか?
tastyさん 生まれも育ちも松本です。少しだけ東京にいた時もあったけど、あっという間に挫折して戻ってきた。それに、結局松本が好きなんだよね。東京にいると、いくらでも誘惑があるというか、ひたすら遊べてしまうでしょう。これは危ないなって。松本にいると、周りの人のご縁に生かされているというか、「私やばいかも、頑張らなきゃいけないな」と思うんですよ。
ーーりんご音楽祭主催のdj sleeperさんとの出会いは、どんなきっかけで?
tastyさん 「松本BOND」でDJをし始めてから、だんだん松本の別のパーティーでもtastyとしてブッキングしていただくようになって。sleeperと出会ったきっかけはあんまり覚えていないんですが、松本の音楽界隈を介して名前は聞いていて、数年くらいなんとなくお互いの存在は意識していました。それぞれ様子を伺っていた感じかな。2021年からはりんご音楽祭に呼んでもらえるようになりましたね。
ーーりんご音楽祭は、DJとしてのオファーではなく“Floor bitch”という役割で出演されていますね。初めてお見かけした時は、お客さんの一人だと思っていました。りんご音楽祭はおしゃれな人が多いと聞いていたけれど、ここまで気合いの入った人がいるのかと驚いたことを覚えています。
tastyさん ありがとうございます。最初はDJとしてオファーをもらえるのかと思ったけど、いざ話を聞いてみたらパフォーマーとしての出演でね。文字通り、会場内を歩き回って楽しむのが私のお仕事ですね。主催のsleeperには、「そろそろDJブースに立ちたいなぁ」と言ってはいるんだけど……。でもまぁ、あの役目も嫌いではないですよ。毎年楽しみにしています。
ーー2023年は、シャボン玉を吹きながら歩いていましたね。
tastyさん あれはね、子供たちにも人気で、なかなか使えるアイテムだったね。ああいう小道具があると、みんなと絡みやすいですし。
ーーお客さんから話しかけられることは多いですか?
tastyさん うーん、半々ですね。興味は持ってくれているけれど、どうしたらいいのかわからなさそうにしてる子が結構遠目にこっちを見ているのを感じます。話しかけたそうにしている子がいたら、すかさずこっちから話しかけるようにしてる。でも、みんなだいたい「写真撮ってもいいですか?」ってちゃんと聞いてくれるね。
一人でいるのが好きな自分と、人に囲まれる「tasty」のパワー
ーー今年のりんご音楽祭も楽しみにしています。tastyさんの姿や立ち振る舞いはとても華やかですが、お化粧をして着飾ることで、もとの自分とは違う人格が生まれる部分はあるのでしょうか。
tastyさん ありますね。普段の自分とはやっぱり全然違う。普段なんてもう、あんまり人と関わりたくないし、どちらかというと一人でいる方が楽で。どこか出かけるにしても一人で行っちゃうの。私はね、本当は結構人見知りというか、あんまり人に興味を持てないの。だからこう見えて意外と友達も少なくて。
ーーパーティーで人に囲まれているところからは想像がつかないですね。
tastyさん そうでしょう。でも、こういう活動をしている限りは喋らないといけない。むしろ、tastyの姿でいると、不思議と人と話せちゃうんですよ。ところで、あなたはもともとドラァグクイーンという存在自体は知っていた?
ーー私はもともとミュージカルの「キンキーブーツ」が好きで、存在は知っていました。でも、間近で本物を見たのはりんご音楽祭でtastyさんにお会いしたのが最初です。
tastyさん 松本の音楽界隈では、長年ドラァグクイーンとしてDJをさせてもらっているから私の存在を知ってくれている人も多いんだけど、あなたみたいにりんごで私に会うのが初めてのドラァグクイーンとの出会いになる人はまだまだ結構多いのかもしれないね。
最近は、テレビで女装家の方が頑張ってくださっているけれど、まだまだどうしてもバラエティ枠の扱いというか、タレント的な扱いを受けますよね。でもDJをやっていると、「そんなこともできるんだ」ってちょっと見る目が変わるんですよ。「私は真面目にやってるんだぞ」みたいな部分も見せられる。
ーー改めて、ドラァグクイーンというのはtastyさんにとってどんな存在ですか?
tastyさん なんでしょうね、難しい。昔先輩のクイーンさんには、あんまり私生活を匂わせちゃダメだって言われたの。ドラァグクイーンというのは、リアリティを求められるものではないから。
ーーどこか現実離れした存在であると。
tastyさん そうそう。2時間かけてお化粧して、10分で落としちゃうんだから、儚いですよ。全部ニセモノ。自己満足といえば自己満足なんだけど……。そうですね、ドラァグクイーンは、別に主役じゃない。あくまでも舞台の花で、クラブやパーティーに彩りを添える存在かな。
男でも女でも何かでも。ただ「人」でいられるのがクラブの良さ
tastyさん それからね、こんな格好でDJをしていると、ポップな感じなのかとか、ちゃらけた感じの曲をかけるのかと思われがちなんだけど、いざ私のDJを聴くと「意外と激しめの曲をかけるんだ」とか、「意外と硬派なDJなんだ」と言われるんですよ。それはこっちもしてやったりって感じよ。
ーー外見とDJとのギャップが。
tastyさん そうそう。でも本当はね、ファッションとか性別とか関係なく、人と人、それだけの話なんですよ。あなたはあなた、私は私。簡単なことなのに、現実はまだまだ難しい部分がありますよね。こういう格好をしていると、気持ち悪がられたりすることもある。だけどそれはその人の感じ方というか。別に嫌ってもらってもいいの。不快に思わせちゃったんだね、お互い近づかないようにしようね、って。
その点、男で女でも何かでも、普通に「人と人」として話ができるというのも、クラブやパーティーの良さだと思います。だから、若い頃からずっとクラブが好きで、クラブにいるんだろうな。「tasty」でいるいないに関わらず、これからも関わり続けると思います。
ーーファッション、音楽、クラブ、松本と、好きなものが集まって、今のtastyさんがいるんですね。
tastyさん そうですね。私は、何事もまずは興味を持って「ちょっと調べてみよう」から始まるんですよ。それから「やっぱり自分でやってみないとわからない」と思ってやってみることが多い。でも、見切りをつけるのも早くて。「これは駄目だ」と思ったらすぐやめてしまう。
実はこれまでも結構いろいろやっては辞めていてね。それでも、自分の中で「これはいけそうだ」と思ったら続ける。ファッションもDJも女装も、続いているから本当に好きだったんだろうな。tastyでいることは、需要がなくなったなら続けられないかなと思うけどね。
ーー逆に、誰かに求められ続ける限りは「tasty」であり続けるつもりですか?
tastyさん みんな飽きないのかな、私でいいのかなと思うときもありますよ。でもこうして「tasty」であり続けられているのは、皆さんのおかげです。本当にありがたいと思いますよ。歳は歳だけど、まだまだ引退する気は全然なくて。必要とされる限り、頑張れるだけ頑張りたいです。
▽tastyの松本おすすめスポット
・松本市立美術館
・松本パルコ
・昭和酒バァ1ジュ
・松本BONDO(SONIC)
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取材・執筆:風音
撮影:Naka Hashimoto