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2015.06.18TALK

やけのはら×スリーパーのNEWパーティー「the LOVE」楽園・沖縄から始動!KIM、on店長・石黒と4者での15,000字を超えるスペシャル座談会!

thelove_ol

「the LOVE」
日時:7月4日 (土) 19:00〜7:00 “sunset to sunrise “
場所:Record & Music Bar “on” (沖縄県那覇市牧志1-20-13 SO牧志ビル4F・美栄橋駅前)
参加費:¥2,000 (ドリンク別)
DJs: やけのはら/FRAN-KEY/KIM (Ku’Damm)/dj sleeper (りんご音楽祭,瓦RECORD,美栄橋on)

「the LOVE」 スペシャル座談会 in 沖縄

対談中の4人@on-1

写真左より、りんご音楽祭主催・古川陽介(DJスリーパー)、KIM(Ku’Damm)、on店長、石黒(DJきらきら富山さん)、やけのはら

やけのはら × dj sleeperで立ち上げるNEWパーティー”the LOVE”の根底にあるもの「1人で変わるから。1人いればやる意義がある。」

やけのはら(以下や):はい! じゃあ、「りんご音楽祭」主催で、沖縄の「Record & Music Bar “on”」のオーナーでもあるDJのスリーパー君と、私やけのはらと、スリーパー君と僕の共通の知り合いでありの沖縄のDJ KIMさんと、on店長の石黒君の4人で、ざっくばらんなトークをしようと思っています。

一同:よろしくお願いします。

や:これを読んでくれてる人は基本的にスリーパーの事は知ってると仮定して、僕とKIMさんの自己紹介を。僕はDJとか音楽をやっていて、りんご音楽祭にも始まった頃から出演していて、その話は追々したいんですが、そういう感じです。昔からスリーパー君の友達です。KIMさんはいつくらいにスリーパーと知り合ったんですか?

KIM(以下K):沖縄に来だした時だよね。あれ違う? on始めた時じゃなかったっけ?

スリーパー(以下ス):初めて会ったのっていつでしたっけ? もっと前じゃないですか?

K:あっ思い出した、僕のパーティーだよ。僕が沖縄でやっている「クーダム」っていうパーティーに石黒君(on店長・DJきらきら富山さん)が連れて来たんだよ、多分。で、最初は調子のいい人っていうか。「DJさせてくださいよ~」って感じで挨拶してきて。

ス:そう、あの時すごいDJやりたい時期で。

や:僕が知る限り、常にそうだけどね(笑)。

ス:火の玉ホールとかでもやらせてもらって、一発くらったりね。

や:じゃあ僕も話していいですか? 多分、僕が一番昔からスリーパー君を知ってると思うんですけど。スリーパー君、まずいくつなんですか?

ス:31歳です。

や:りんご音楽祭は何年間やってるの?

ス:7年間

や:そうするとあれじゃないの? これ読んでる人とか、なんだあれか、ボンボンかと思うでしょ。金持ちで、親の金でやってんじゃねぇのかと。

ス:あっそれ、すごい言われるんですけど、払拭したい! やけさんが喋ってくれればわかるけど。

や:えっ、じゃあそれは違うってことでいいの?

ス:違うでしょ!

や:家の一番道路に面してる所から玄関まで100mあるとかそういうのないの?

ス:あるわけないでしょ!

や:でも、あるわけないって言っても、今31歳で7年前からやってるなんて、端から見たら、あっなんだこいつは道楽でいいなぁって思うかもしれないじゃん。

ス:瓦レコード(長野県松本市にある、スリーパーが経営する、クラブ兼レコード・ショップ)も20歳から11年やってるから、結構言われるんですけど。

K:もしくはスゴい太いパトロンがいるかだね。

や:ブラックなコネクションが……とかね(笑)。

ス:あっでも、りんごでコケたときの借金返済の選択肢の一個で、おばあちゃんの愛人っていうのがありましたよ。それで一年契約すれば返せるとか。本当にやばい状況だったので、いろんな借金返済の方法を調べてもらってて。「あのマグロ漁船、全然儲からないね」みたいなレベルの話してた。

や:とりあえず基礎的な事として、31歳のオーガナイザーでりんご音楽祭を7年やってるけど、ボンボンではないと。じゃあ逆に言うとどうやってできてるの?

ス:どうやってできてるんすかね?

や:そこがんばって伝えようよ。

ス:俺も不思議だし、誰にもわからない。まぁバイトしたりして。

や:普通だな(笑)。がんばってるね~。

ス:初期はね。今はお客さんが来てくれるようになって、まぁ形になってきてるけど。瓦を始めた頃はバイトしたお金でレコード代と瓦の改装費を捻出してる感じだった。

や:ちなみに何のバイトしてたの?

ス:一番最初の頃は居酒屋、白木屋系列の。

や:普通だな(笑)。そこだけ聞くと大学生はみんなフェスできそうじゃん。

ス:できるできる、全然できる。

や:そんな希望持たせちゃっていいの?

ス:そういう企画だから、俺の生き方は。

や:それは俺もわかる、たしかに若者が頑張ってたら背中押したいよ。ただフェスとかだと人間関係やお金も絡むから、どうするの? 22歳の人とかフェスやって2000万とか負債抱え込んだら。

ス:責任は自分で取るんだよ。

や:それができるガッツがある人はフェスできるかもって思ってもいいってことね。それを伝えたいってことね。

ス:だって家買うのとかと一緒じゃない?

や:だってそれ逆に言ったら、40歳とかで家買う人はいるかもしれないけど、大学生は家買わないわけじゃん。

ス:だから、まだ自分には出来ないっていう判断が出来たんだったらいいんじゃない? 俺には判断出来なかったんだよ。俺は今フェスとかお店やっててわかってきたけど、若い時はそれがいかに大変な事かがわかってなかったから出来たんだと思う。

や:あー、逆に若いから、勢いでね。エネルギー。

ス:出来んじゃね? って、やってみた。

K:あ~、それはね、半分理解できるよ。僕も沖縄でクーダムっていうパーティーをやってるけど、元々は「DENKIROK」っていう名前で沖縄のビーチでテクノのレイブをやってて。

や:僕は聞いた事あるんですけど、一応どんな感じか教えてくださいよ。

K:とにかく24時間テクノを鳴らして、キャンプ・サイトも無しで、とにかく踊りきって「帰ろー!」って言って帰るっていう。ラインナップは日本のテクノDJ、石野卓球さんとか。

ス:えっ! 卓球さんとか出てたんですか?

K:出てたよ~、ヘッドライナー。KAGAMIさんとかTASAKAさんとか。一番最初は2005年くらい。

や:キムさんはおいくつくらいだったんですか?

K:僕は24歳とか?

や:あ~、近い! 近い話だ、そういう若いエネルギーがあったから出来た。

K:始めたきっかけは……「WIRE」に行った事がなくて。

や:まぁ沖縄から遠いっすからね。

K:学生の時からWIREってやってて。1999年だよね? 1年目。行けなくて悲しい思いをしながら、いつもそのコンピレーションをレコードで買ってて。でも働き始めて、何となく給料っていう物をもらえるわけじゃん? で、あーこれでWIRE行けるじゃんって思ってたんだけど、子供が生まれて。そうなると中々行けないから、じゃあ沖縄でやっちゃうかっていう感じ。

や:いい話ですね~!

K:で、どうせ沖縄でやるんだったら浜だなっていう。砂浜で海に向けてスピーカー打って。具志頭浜って南部の浜で。数年間くらいそれをやり続けてて。で、最後は24時間できなくなっちゃったから、僕がやらないって言ってやめたんですけど。

ス:何でできなくなったの?

K:それはノリピーが捕まった辺りだったからだよ。

一同:あ~。

ス:りんご音楽祭の1年目だ!

や:俺が『Rollin’ Rollin’』って曲を作ってそれをマスタリングしてる時に、七尾旅人くんとノリピーの話してたから覚えてる。2009年の夏だね。

K:2010年くらいに同じ名前のパーティーをクラブでやったんだけど、なんか面白くなくて、僕の野外での企画はそれで終わり。それで時を同じくして沖縄で野外パーティーが始まったから、僕がやらなくてもいいや、遊びに行こう! と思って。まぁとにかくその立ち上げの話はよくわかるよ、スリーパーのやってる事は。

ス:あれ、一緒じゃん! って思った。

K:一緒一緒。

対談中の4人@on-3

美栄橋onにて1

や:これを読んでくれてる人で詳しくなかったり、来たことない人もいると思うんで、沖縄のクラブシーンって、どんな感じなのか是非教えてください。

K:音にはよく反応してくれる方だと思います。ただ好き嫌いはあるのかな。あと、終電とかがなくていつでも帰れるから、つまんなかったら帰っちゃう。他の県の事はわからないけど、唯一電車がない県じゃない?

や:そうか、モノレールだけですもんね。基本的に車文化ですよね。だから、終電っていう概念がないので、来たい時に来て、帰りたい時に帰ると。

ス:来る時間も遅いし、つまんないとすぐいなくなる感じ。

K:終電より始発があるかないかって方がスゴい重要。ケツの時間まで人が残らざるを得ないとか、残りやすいとかそういうところ。沖縄の場合はそれが関係なくて最後までお店にいなくてもいい環境だから、さっといなくなっちゃう。

や:すごくざっくり言うと、どんなジャンルとか人気あるんですか?

K:ヒップホップかな。アメリカの文化もそうだし。

ス:沖縄は外人のヒップホップが普通の感じ?

K:そうだね~、そのまんまだもんね。でも、あれは一回見てもいいよ。

ス:うん、あれ日本で見れるの沖縄の○○っていう箱くらいだよね。

K:でも横浜もすごいんじゃないの?

や:あ~そうですね。その濃度の違いはあるかもしれないですけど、米軍基地とかある所はそういう文化です。昔は、新しいソウルやディスコをちゃんと聞けるのは、基地の近い所だったりしたみたいで。横浜はブラック・ミュージックがすごい盛んで、それは基地が近くにあったからで、そういうのは聞いたりはしますけど。特殊な繋がりがないと、普通の10代20代とかがそういう所に遊びに行くっていうのは、ないっちゃないですし、本牧の基地は無くなったので、そういう色は薄くなっているかもですね。

K:ちょっと一回話それるんだけど、マトリックスっていう映画があって。あれの3作目で、マトリックスから抜けて生き残った人間が集まってるコミューンで、めっちゃ踊ってるシーンがあるんだよね。皆、ほぼ裸なんだけど。で、マトリックスで踊ってたのは黒人が多いのね。僕らはそういう風景が見たくなって、時々そういうクラブに行くのよ。そうするとさ、そういう所の年齢層って20代前半とか、特に男のお客さんはアメリカ人がほとんどで、日本人の男なんてほとんどいないのね。だから、お前何してるんだよみたいな目で見られる。

や:日本人の男がいても、場違いっていうことですよね。

K:僕はそういうのを目当てにしているわけじゃないけど。やっぱ人の威力っていうか、俺は女が抱きたいんだ! みたいなパワーを感じに。

や:男の人のエネルギーって事ですよね。女の人は?

K:私は誰を選ぼうか(笑)。

や:ある種研ぎすまされた、ナイト・クラブの側面が凝縮されてるっていう(笑)。

K:そこに特化してるって言ってもいいよ(笑)。

ス:ちゃんとカルチャーとして成り立ってるっていうかね。俺がそれを見た時感じた事は、バック・トゥ・ザ・フューチャーの……。

や:なんで映画に例える流れになってるの(笑)?

ス:だって日本には無いカルチャーだもん。

や:魅惑の深海パーティーでしょ? プロム・パーティー。

ス:あの感じをスゴい感じた。カルチャーとして根付いてるっていう。

や:あ~、なるほどね、社交と男女の出会いみたいな。

ス:日本ではさ、無いじゃんああいうの。

や:普通のクラブでも、そういうボーイ・ミーツ・ガール的なの、一応は、一個の要素としてあるでしょ。

ス:いや、違うのよ、その根付き方が。あっちでは普通なの。日本だったらカラオケのノリが近いかな? 学校終わった後に選択肢の一個にクラブがすでに入ってる感じ。自然な文化になってる。

や:ちょっと話を戻すと、スリーパー君が沖縄の話をしてるけど、元々は関東の人で、長野で瓦RECORDっていうクラブをやってて、りんご音楽祭やってて、で今は沖縄でonっていう店をやってて。沖縄に来て、最初に音楽シーンに触れたのはいつなの?

K:そうだよね、なんで沖縄で店やろうと思ったの?

ス:おじいちゃんとおじさんが沖縄に移住して住んでて。2011年のりんご音楽祭が、始めてフェスとして成り立ってその時に借金も返せたから、これで沖縄にも行けるなって思って、おじいちゃんとおじさんに会いに行ったんです。小さい頃には来た事あったんですけど。

K:自分の金で来たのは始めてってことね。

ス:「りんご音楽祭終わったら沖縄に行くんですよ」って七尾旅人さんに話したら、七尾さんの沖縄ツアーと丁度タイミングがあって、一緒に沖縄県内を6カ所くらいまわって。その時に石原岳さんに出会ったんですよ。岳さんは沖縄の高江に住んでいるすごいギタリストで。

や:高江ってどの辺なんでしょうか?

ス:すごい北の方です。車で2時間半から3時間くらい。そこでも七尾さんがライブやって、その時に僕もDJやってて。みんなに「面白い人いますかね」って聞いてたら、現on店長の石黒君と出会ったんです。岳さんに紹介してもらって。

や:そこで、スリーパーは瓦でお店の経験があったとはいえ、なんで沖縄にお店を出そうと思ったの?

ス:その3ヶ月後の2012年の1月に石黒君がナハウスっていうシェアハウスを立ち上げるっていうから、そのタイミングでまた沖縄に来て。面白そうだからって、りんご音楽祭のスタッフとみんなでナハウスのオープニング・パーティーに参加したんですよ。そこから沖縄がだいぶ気に入って。沖縄はいいミュージシャンめっちゃ多いし、パーティー感がどこでもあるから楽しくて、来れるタイミングでちょくちょく来てたんですよ。LCC(格安航空会社)も始まったんで、いつも5000円くらいで来れてたかな。

や:それは安いね!

ス:もっと安い時は1500円とかのセールもあって。LCCの始まりの時だったから、すごい安くて。それで宮城島っていう所でビーチパーティーやったり、KIMさんと石黒君がやってるクーダムに出させてもらったり。今は無くなっちゃったけど伝説のクラブ、火の玉ホールっていう所でDJやらせてもらったり、石黒君とも色々パーティーやったりしてて。とにかく石黒君のDJが良すぎて!

や:おっ! いい話だ!

ス:僕、全国で色々遊んでるけど、若手のDJで、日本のトップクラスにいいなと思って。でも、石黒君は性格的に自分が前に出ていったりとか自分をアピールするタイプじゃないから、このままだと「沖縄に石黒君っていういいDJがいたね~」だけで生涯終わっちゃうんじゃないか? と思って。

や:生涯! わかるけど、勝手に人の生涯を決めつける事ないじゃん(笑)。

ス:それは大げさかも知れないけど、気づかれなかったらこれで終わるから。そういう人を何人も俺は見てきてるから。

や:俺もチャチャ入れちゃったけど、それもわかる。才能あったりしても、本人の性格とかで、くすぶってしまう人、がんばって推してあげたいって人いるよね。

ス:俺、すごい欲張りでもったいない病だから。このままだと「あ~いたよね石黒君、よかったよね~」で終わっちゃって日本の音楽史の中には刻まれないな、と。そんなのもったいない! と思って。

や:まぁ今のところ刻まれてないけどね(笑)。

ス:それで、「沖縄に石黒ありってとこまでに上げたいですね~」ってKIMさんと話して。それで石黒君に店やろうよ~って軽く言い始めてたんですよ。

や:onっていう店の店長のDJが超いいんだよ! みたいな? 拠点を作ってあげたかったの? 石黒君の看板みたいな。

ス:そう、俺もりんご音楽祭やってるからってDJ呼ばれたりもするわけだから、石黒君にも何か看板が必要だなと思って。

や:じゃあビジネスとかじゃなくて、もっとパーソナルな部分でお店を開いたって事?

ス:DJきらきら富山さん(石黒君のDJネーム)を全国に広めたくて作ったんですよ。2013年のりんご音楽祭が終わった後くらいから石黒君に話し始めてて。開店したのが2014年3月だから、その間の半年で決心を固めてもらった。仕事も辞めてもらわなきゃいけなかったし。

や:じゃあその半年で何があったかはきらきら富山さんに話してもらおうかな。

石黒(以下石):最初は冗談だと思ってたんですよ、冗談半分に言ってるのかなって思ってたんですけど。まぁ当時も2、3ヶ月に一回とか沖縄に来てたから、来る度に「今度物件当たるから、物件いいの探しといて」って言われるようになって。

や:あっ、こいつ本気だと。

石:で、ある時に、俺が物件を当たってなくて、「だめじゃん、ほんとに店作るんだから。今度俺が来たときに、物件一緒に見て回るからね。」みたいに言われて。onの工事をしてくれた大工さんと、ここを作る時に手伝ってくれたスタッフさんも連れて、一緒に見に来てくれて。

ス:いや、でもその前に石黒君に本当にやるのか確認とったと思うよ。10月くらいに来た時に、「どうする? ほんとにやる?」って改めて考えてもらって。次、12月くらいの時に「どう?」って聞いたら、「覚悟決めました」って言ってくれたからやることになったんだよ。

や:お~!

ス:あと、俺にも考えがあって、お店のことは前からふんわり考えてたんですよ。沖縄にこれだけ来てるから仕事にしたかったし。それと重要なトピックが2つあって。まず、沖縄のおじいちゃんが亡くなっちゃって、沖縄に遊びに来る大きな理由がなくなったんですよ。それと、沖縄にRITTOっていう超いいラッパーがいて、その人を2013年のりんご音楽祭に初めて誘ったんですよ。めっちゃいいけど、まだあんまり全国のみんなに知られてなくて、知ってる人は知ってるってぐらいの頃で。撮影で来てくれたスペースシャワーTVの人に「このラッパーのことを知らないかもしれないけど、絶対に撮って下さい!」って言って、番組でライブを放送してもらったんですよ。その動画がYoutubeにあがったら、同年のメインアクトのアーティストの動画よりもアクセスが上がって。RITTOの事をみんな気になってたんだけど、それを紹介する名刺みたいなものがなくて、あの動画がその役割になったんですよ。それを実感して、やっぱこういう事をやって行きたいなって思ったんですよね。沖縄にはすごくいい音楽が沢山あるけど、それが全国に伝わってないから、そういうのをもっと広めていくっていう需要があるってわかったんですよ。それは求められてて、やる人がいないだけだから、俺がやればいいなっていう気持ちで。

や:おっ、いい話だね。

ス:要は沖縄に来る理由が無くなったけど、こんなに来たいし、俺がやりたい事は需要があるし、誰もやる人がいないし、やっぱりお店やりたいなって思って。それで、石黒君に本気でやろうよって言い始めたんですよ。

石:僕の性格の話していいですか? 僕はすごく環境の変化に弱くて、短期間でも場所が変わるのも嫌だったから、すごい渋ったんです。サラリーではないのも初めてだったし、こういうお店に立って、且つ店長って、前に出る仕事じゃないですか。性格的に前に前にっていうタイプじゃないから。でも言い方あれなんですけど、スリーパーさんしつこかったんで(笑)。僕もやっぱ真剣に考えるようになって。

や:じゃあこの辺で、店長の口から決意した瞬間を説明してくださいよ。

石:いくつか物件を探している時に僕も候補地を一緒に見に行って、その場にDJ HIKARUさんとかも来てて。段々、これ囲われてんな……みたいになって。でもここまで人が動いてくれてたから、じゃあやろうと思って。僕から見てスリーパーさんはすごい事をやってたし、僕とは性格も真逆だと思うんですよ。ここまで真逆の人が僕をここまで買ってくれてるってのは何かあるなって思ってて。それで、「やります」って。言ったときは、面白くなるなってより不安が大きかったけど。

ス:onを始める前に石黒君と話してたのは、「沖縄にはすごくいい文化があるけど、そこに観光客がすんなりたどり着くまでの道筋は全然できてない。いいパーティーとか、いいクラブはあるんだけど人がまだそこまでたどり着かない。沖縄の音楽についての観光見本がないような状況だから、その間のハブみたいなお店をやりたいね。それに、沖縄と内地を繋ぐお店になりたいね」って事。だからonは、綺麗でおしゃれで、音楽が好きじゃない人も遊びに来れる内装になってるんですよ。真っ暗で煙くて……とかじゃなくて、だれでも過ごしやすい感じ。さくっと来たらヤバい音楽の人がさくっとやってるっていう。それで気になったらもっと深い所に行けばいいかなって思える、つなげてあげれるお店をやろうって。

や:それでやっと開店しましたと。それで1年やってみてどうですか? 店長。

石:1年やって、まだ実感は無いですね。

一同:爆笑

や:まてよ、1年やったら実感はあるだろ!

石:いや、362日くらいonにいたから、客観視できないというか。常に渦中にいるっていうのは何か新鮮な感じですね。

ス:でも明らかに石黒君が変わった瞬間っていうのがあって。こんな性格だから、お店が開店して最初はまだやらされてる感じで、1~2ヶ月しか経ってないのに辞めたいとか言ってたけど。

や:あれ? それはまずいね。

ス:俺が10年かけて貯めた金を全部ここにつぎ込んだんですよ。貯金1桁になるくらいつぎ込んだのに、「え? お前今更なに言ってんの」って感じで。

や:やばいね~、高校生の貯金より少なくなっちゃったじゃん。俺はさ、オープニングの時にonに来て石黒君を見た時に思ったのは、まぁ、「大丈夫かな?」だよね。

石:オープンした時は、改装や準備でかなりパニクってたんですよ、体力的にも色々と。それで、やけさんがonのオープニングの時にDJで来た時に言われたのでずっと覚えてるのが、「石黒君、NO SOULだね」って(笑)。

や:僕は覚えてないけど(笑)。

石:僕、やけさんは気持ちの人だと思ってたから、それがすごい刺さってて。客観的に見てて魂が抜けてたんだろうな、と思って。何しゃべってても返事はするけど、その返事の辻褄が合ってないみたいなやりとりをずっとしてて。

や:やっぱりNO SOULだったんだ(笑)。ちなみにクーダムとかで一緒にパーティーやってるキムさんからは、その時の石黒くんはどう見えたんですか?

K:NO SOULだよね(笑)。

や:やっぱり(笑)。

ス:でも、石黒君と関わる事で俺も成長できたんだよ。

や:なんで急にいい話に持ってこうとしてるの(笑)?

ス:でも本当にそうで。俺も変わったって言われるもん。人にもの頼む言い方が変わったってすごい言われて。それは石黒君に死ぬほどムチを叩かないといけないから、そのムチがほんとに愛情が無かったらいけないから。「石黒君のためなんだ! ごめ~ん!」って。

や:泣きながらね。

ス:まぁゼロから始めるってこういう事だよ。

や:それで、onは、どういうイベントやってるんですか?

石:僕が思ってるonのいいところって、いい意味で多様性があるところなんですよ。周年は実験的なハウスのイベントと広くラテンミュージックなイベントを合同で開催したり、一晩R&Bを聞きましょうっていうのをやったり。そういうの沖縄では中々ないんですよ。あと朝の7時からコーヒーとパンを食べながら音楽を聴きましょうってイベントやったりしてます、音量は少し絞りめで。あと、遅くていい音楽をかける日もあります。BPMが遅くていい曲を、ジャンルを横断して楽しめる。

や:あ~、それ面白いね! 考えた事なかったな~。どんなジャンルでも古くても新しくても、“遅い”だけがキーワードなんだ。

石:遅いの解釈もDJそれぞれなので、それぞれの遅いが展開されています。

や:それ面白いですね、初めて聞きましたよ。

石:お店は、元旦と台風の時以外は年中無休でやってるので、夜に来てもらえばナイスな音楽が聴けます。

対談中の4人@on-4

美栄橋onにて2

や:一年通していいパーティーがあると。……店長! 俺、新しいパーティーやりたいんですよ。聞いてもらっていいすか?

石:もちろんです。

や:スリーパーとアイデアを出してたイベントなんですけど、タイトル発表していいですか?

石:お願いします。

や&ス:「the LOVE」

石:しかと受け取りました。

や:タイトルだけでいいの?!

ス:名前に全てこもってるよ。

や:たしかにね。the LOVEって感じで。今って風営法とかあったり、色々あるけど、俺とスリーパーが出会ったのは10年くらい前で、よく遊んでた2000年代は、俺が12時間一人会やって、パーティーの終わりも朝10時とか普通だったり。たとえばライブだけ見て早めに帰るってよりも、お酒飲んで楽しんでゆっくり遊ぶみたいな感じが、その頃はすごく強くて。好きなDJがどうとかじゃなくて、いろんな音楽を聴いてパーティー自体のムードを楽しむみたいな雰囲気が今より根付いていた気がするんですよ。やっぱりそういうのがパーティーの醍醐味だよね~って話を最近スリーパーとしてて。音楽も、流行ってる音楽とかDJのかける音楽ってどんどん変わっていくもんじゃん。それは当たり前だし勿論いい。だけど、元々クラブ・ミュージックって、フランスの第二次世界大戦の時に戦争中で生バンドが出来ないから、レコードを地下室で聞くっていうのがディスコティークって言われたらしくて、そこが発祥なんですよ。そうやって好き者同士の秘密の音楽会っていうのがディスコティークっていう言語の発祥で。それから、ディスコっていう音楽が、アメリカのゲイ・クラブとかで1960年代後半頃から盛り上がっていって。だからパーティー感とか、そういうのが基本。みんなで音楽を聴いてパーティーを楽しむっていうのは一個の軸ではあるから、イベントみたいなのばっかりで、そういう部分が弱まってるのは寂しいなと思っていて。

ス:有名DJの誰々、モデルの誰々、でもいいけど、基本がそっちじゃないはずなのに、そういうのが増えすぎちゃってなんかわかんなくなってる感があるから。

や:あんまりネガティブな事とか、クラブをわかってないとかそういう事を言いたいわけじゃないんだけど、何かそこはバック・トゥ・ベーシックっていうか。やってる方もみんなでパーティーを楽しむっていうか、その昔のハウスとかディスコとかのパーティーだったら、飾り付けの風船を膨らますとこからパーティーが始まるとか言うわけですよ。そういうのが基本は基本だから。風営法がきつくなってから、クラブ・ミュージックが好きな若い子だとあんまりそういう感覚とか、朝までゆっくり遊んでいく事とか、単純に好き嫌いとかじゃなくて知らない人も多いのかな? なんて話をしてて。

ス:あの辺で、風営法もそうなんだけど、1回強引に途切れさせられたような印象があるよね。「若い子には伝えちゃだめです~」みたいな。知らないっていう状況になっちゃってる感じはするかな。

石:倦怠感がすごいですね。

や:例えば20歳の子でも、僕らが思ってるようなLOVE感のある音楽をおもてなしできたら、「あ~こういう遊び方もあるんだ」って思ってくれる人もきっといるだろうし。逆に自分達も30代で大人になった分、伝えてかなきゃいけないってのもあるし、そういう雰囲気のイベントができたらな~って考えてるんですよ、店長!

一同:笑

や:でね、こないだもonでDJさせてもらったじゃないですか? 俺がDJして、スリーパー君が出て、KIMさんもいて。最後3人でBack to Backで色々かけてて、これだ、こういうことだと! 元々パーティーやりたいって話はしてたけど、これだと! この感じでもう十分っていうか。言語化が難しいけど、そういうパーティー感をみんなで楽しもう!って思って。お酒飲んで、音楽聞いて。

ス:シンプルなものに戻したいってわけじゃないけど、本当はシンプルなんだよ。シンプルじゃなさすぎる物が多いなと思って。シンプルでいいパーティーもあるけど、シンプルじゃないパーティーが増えてきて、やっぱパーティーってシンプルなものだって知らない人もいっぱいいるんだな~ってのを感じてきて。

や:多分さ、単純にみんなで集まって楽しんで踊るもんってよりかは、いろんな人がライブしたりするのを観る場、つまりライブハウスの夜中バージョンだって思ってる人もいっぱいいるじゃん。それはそれで一個の解釈っていうかさ、そう思っててもいいんだけど。やっぱりナイト・クラブの醍醐味もあったり、誰々さんがDJしてるとか、私の好きなあの曲かかったとか、私はヒップホップ好きだからハウスは好きじゃないとか、レゲエはどうとか……そういう事じゃなくて、なんかもうみんなで音楽で楽しめるってのが良いなって思って。

ス:みんなでシンプルにいい音楽を共有して一緒に過ごそうよ、みたいな。

や:みんなでパーティーの雰囲気を作り上げていく、みたいな感じにできたらいいなって思ってるんすよ。店長、やっていいですか?

石:やりましょう!

ス:俺りんご音楽祭やってるけど、りんご音楽祭やっててすごい感じるのよ、そういう事って。りんご音楽祭はその真逆に見えるでしょ、コンセプト的には逆だから。タイムテーブルもがっつりで、ステージもいっぱいあって、けっこう有名な人がいっぱい出たりとか。そういうことをやってるんだけど、根底にはシンプルな音楽を共有するっていう瞬間がある。そういうのが根底にあるから、りんご音楽祭が成り立ってるっていうことを知らない人も多いし。

や:それはそれでね、勝手に楽しんでくれてる分にはいいんだけど。

ス:わかると更に楽しくなるっていうか。

や:それね、演者的には、わかるんですよ、りんご音楽祭は、大きなライブ・ステージで人気の人達が出つつ、別のステージではハウスの人が3時間とかやってたり、ダンス・ミュージックの面白さやパーティーのそういうのを土台としてわかってて、大きいフェスだけどステージとしてそれができてる。タイムテーブルとかブッキングの組み方で感じれるから、そこが信用できるっていうか。そこが抜けてて、そのとき人気のあるアーティストをただかき集めてってなっちゃうと……信頼感が違うっていうか。スリーパー君はちゃんとしてて、パーティーの延長として今のりんご音楽祭の形があるっていうのもわかるし、お客さんでも演者でもそれを感じてくれてる人はいると思うよ。そうは思わなくて、ただ「イェー」って遊びに来ても楽しいんだけど。演者なり、お客さんで、「りんご音楽祭面白いよね」って思ってくれてる人には、そういう土台のニュアンスは伝わってると思う。

石:ほんとそうですね。こないだの皆さんのonのパーティーも、朝までやってたじゃないすか。何回か帰ろうとしたお客さんも結局戻ってきて。

や:朝、「もういつ帰っていいかわかんない」みたいな、ひたすら音楽聞いて楽しいみたいな、そういう感じをしたいんだよね。例えばお目当ての人が終わったから帰ろうかなってより、何ていうかもうちょっとこう、パーティー感。僕らの知ってるパーティー感を濃縮してね。今の派手なイベントとかに比べると地味な形になるんだろうけど、パーティー感を濃縮したものを小さい規模でもさ、できるといいんじゃないかなって思って。

ス:規模の問題じゃないからね。

や:だってパーティーだもんね。最初のディスコとかのイベントとかだって、会員制とかも多かったり、ホーム・パーティーだったり、規模とか商業性じゃないんだよね。身内の顔見知りの友達くらいまででも、みんなの楽しいパーティー。ただの楽しい集まり。商業的になるのが一概に悪いわけじゃないけど、興行は興行として一個の形としてあっても、原点としては、ディスコティークというか、音楽で楽しむ集まり。そういうのを大事だなって思ってるから。

ス:だから、最近よくあるけど、昔のすごい名曲のリミックスとかをかけてて原曲を知らない人に「これが原曲なんだよ」ってやさしく教えたい感じなの。「おまえ原曲も知らないのかよ」って言いたいわけじゃなくて。「これが実は原曲で、これマーヴィン・ゲイって人の曲で…」、「へ~」みたいな。マーヴィン・ゲイのリミックスかけててマーヴイン・ゲイ知らない、みたいな状況にもなってるわけ。

や:それでね、これ完全におせっかいなんだけど。クラブだけじゃなくて音楽もそうだけど、深くいろんな楽しみ方を知ってくと、人生の長い趣味や一生付き合える豊かな気づきのある、そういうものになっていくから。そこが例えば、ちょっと遊びにきてただ「イエーイ」って、それはそれで社交場としていいんだけど。できればもっと深く長いタームで好きになっていけるものだったり、付き合っていけるものだったりになれば、楽しいし。卒業とか……「昔はクラブで遊んでたけど、大人になったしそういう所は行かないよ」とか……。

ス:卒業とかじゃないよね。それって「もう年とったんでおいしいご飯とか食べないです」って言ってるのと近いっていうか。俺らにとっては、いい音楽聞いて一緒に楽しむって事は、「あそこのご飯おいしいから一緒に食べいこうよ」っていうのと同じ。

や:その店の情報だけピンポイントで、「あの店テレビで見たから」とかで行くのも全然ありだしわかるんだけど、そこでだけ食べて終わっちゃうから。もっと深く理解していくと、もっと長く深く楽しめるんじゃないかなってのを、第一に伝えたい。

ス:まぁほんとにいい曲聞いて、いい曲だねって。そういう感じ。

や:それはさっき俺が話したりんご音楽祭の話と一緒だよ。実際にライブ観てよかったから、が原点じゃないと。このひと人気あるから呼ぼうよっていうのは話の順序が違うっていうか。もちろん、「the LOVE」をやったところで何かが変わるわけではないんだけど、僕の地元の横浜で12年くらいずっとやってる「HEY MR.MELODY」っていうパーティーがあって、今色んな所でDJしてるWILD PARTY君(OL Killerのメンバーとしても活躍するDJ)とかも、18歳から何年もずっと通ってくれてて。後になって自分で何か始めたり、そういう人多くて。フロアで最後まで踊っていた3人が後々……みたいなことあるしね。

ス:ほんとそう! 俺だってそうだもん、その一人がフェス始めたよ! みたいな感じで先輩から見られて。

や:俺から見てもほんとそう。スリーパーとかは、よくDJ聴きに来てくれたりしてて、自分でもDJしてるのは知ってたけど、ほとんど期待されてなかったっていうか。スリーパーのイベントは、いつも客入んないし、若くて勢いだけあるなみたいな。こんなに頑張れると思ってなかったっていうか。

ス:でも1人で変わるから。1人いればやる意義がある。

や:濃い人が数人でもいたらそっからけっこうガーッて広がったりとかあるよね。深いっていうかそういうのあったりするよね。

K:これで大入りっていうよりも、みんなの経験として残ってほしいっていう感じだからさ。

ス:あと、1人でいいけど、1人の人生を変えたい。それで次に繋げたい。規模じゃないって言うのはそういう事だね。1人でも重要だし、りんご音楽祭6000人来てるけど、一緒なんだよね。結局、0じゃないっていうのは一緒。1人いたらやる意味あるし。だから規模感ってよりも、いい曲聞いて「いいよね」っていう根本は一緒。

や:でもね、かっこつけた話に聞こえるんだけどDJ的にはわかる。踊ってる人が0人だったら話違うけど、1人でも100人でもそれは一緒なことあるよね。1人いたら大きいっていうか、信じるっていうかね。あと倍数だから、1人を踊らせ続けられないんだったら、100人も踊らせ続けられないっていうかね。

ス:だから「the LOVE」でやりたいのは、規模が大きいパーティーじゃ出来ないこと。1人1人と一緒に直接的に楽しめる、そういうのが大事っていうか、そういうのやりたいんだ。もっと向き合いたい感じ。さっき飯食いに行ったら、たまたま知らない人の結婚式の二次会やってて、そこに勝手に参加して飯食って来たんだけど。あ~、ああいうのがパーティーだなって思った。なんかLOVEなパーティーに勝手になるっていう。グルーヴ上がってきて、しかもDJめちゃよくて。

や:そうそう。喋りながら聴いてると次々とLOVEな曲が聴こえてきて。口に出さなかったけど、「この人the LOVE誘おうよ」くらい思ったわけ。で、パッとみたらフランキーさんだったっていう!(その後すぐFRAN-KEYさんもthe LOVEへの出演が決定)

FRAN-KEYさんがDJしてた結婚式の2次会@BORRACHOS

FRAN-KEYさんがDJしてた結婚式の2次会@BORRACHOS

ス:「the LOVE」でやりたいのは結婚パーティーなんだよね。

や:みんなが楽しくなるのが基本っていうね。みんなで作り上げる結婚パーティーみたいだねっていう。受け身じゃなくて、自分でもできるし、自分でもするんだよっていう。「今日のパーティー人入ってないね」じゃなくて、自分で盛り上がればいいじゃんっていう。自分のDJ終わっても他のDJの時にフロアを盛り上げたり、パーティーのために何かできるよねって。でもDJってそういうものじゃん? 当然そういうものだったじゃん。1時間の発表会みたいな感じで、私もう終わりましたみたいな感じで帰られても……。

ス:知らないだけなんだよ。まぁ現場に行かなくても音楽が楽しめるようになったから、そういう所は途切れてるかもね。

や:まぁ現場至上主義みたいのも嫌なんだけど。でもそういう場所でしかわからないことや生まれない空気とかやっぱりあるし。クラブ・ミュージックというか、DJっておもてなしだしね。凄い若いときとか、ぺーぺーって感じで、平日のクラブでDJしてて、お店の人に「こういうのはかけるな」とか注意されたり、朝だからこれくらいの音量でかけるとか、教わったり。

ス:音量は基本だからね。まぁ仕事なのよ、俺らパーティー業だから。みんな楽しくなった方がいいじゃん。また来たいなって思ってもらいたいし、もう来たくないなっていうのを軽減する作業だね。

や:ずっとやってる人はそういう所の押し引きや、固さと柔らかさだったり、そこの見極め方がスゴいよ。こいつは踊らすべき人だ、きっと踊る人だとか。1人2人狙い定めて最終的には踊らせたいとか。そういうのが見えてなくて、ただかけてると発表会みたいになっちゃうから。

ス:なんかね、チャラい人とかいるじゃん? DJで。そういう人にわかりやすく言うなら、「一番かわいい子に帰ってほしくないなら、DJで落とすっていう作業をすればいい」って事。

や:そうだよ、真実だよ。

ス:かわいい子がすぐ帰るのとずっといるのじゃ、パーティーの盛り上がりが変わるから。なんかチャラいDJとかはそういう感じでやってほしい。「俺のDJであいつ朝まで帰んなかった」くらいDJでロックするみたいな。言葉でナンパするんじゃなくて、それをやってくれればいい感じになるよね。

や:かわいい子が踊ってるパーティーは男も増えるしね。当然そういうことだよ。

ス:自分を口説きに来た1曲で、一生ついて行くってことあるよ。俺、ライムスターのDJ JINさん達の「breakthrough」ってパーティーに遊び行ってた時に仲良くしてもらったから、JINさんのそれ以外のパーティーも行ってみようと思って渋谷NUTSでやってたガンガンにヒップホップなパーティーに遊びに行ったの。JINさんのガチなヒップホップを聴きに行ったんだけど、そこでハウスがかかって。「JINさん珍しいっすね」って言ったら、「スリーパー来たからかけたんだよね」って言われて。その一言で、今でも俺はJINさんについて行ってる。でも、それをできないとDJじゃない。それがDJの仕事だもん。それを来た人全員が、俺のためにかかった曲あったなって思う事が理想的。

や:逆に、「あいつソファーで休んでるからフロアに呼び戻す」って曲をかけるときもあるよね。

全員:あるあるある。

ス:そうそう。それがDJ、DJってそういう仕事だと思う。それが出来れば、極端な話、MIXしなくてもいいと思う。ターンテーブル1つでもDJできるし。まぁ要は伝えたいのはそれだよね。

や:そこまでいくと自己表現の域を超えて長く続くような気がするよね。楽しいし。他の事でもそうだけど、他者が喜びを感じてくれるって嬉しい事だよね。自己表現だけだと、飽きたら終わり、になっちゃうしね。

ス:こんだけやって来て、やけさんと始めてパーティー立ち上げるっていう。

や:やるんで、宜しくお願いします~!

ス:それの1回目を沖縄で。沖縄だけでやるパーティーじゃなくて、俺は松本が拠点だし、やけさんは関東だから、その3カ所はやりたいね。それの1回目を沖縄でやりたくて、それのウェルカムDJとしてKIMさんに出てほしいなぁって思ってて。

や:けっこう長めでDJも少なめで、1人くらいはゲストDJもいるかもってくらいで。

ス:でもまぁ12時間くらいやろうかなって思って。

K:いいラブ。

や:いいラブが降り注ぐんで、来てくださ~い!

K:愛っていうのも定義が広いから、とにかく僕らがDJとしてやってるのはさ、音楽をかけるわけで、いろんな音楽があるけど、そういうものを紡いで愛を感じさせられるかっていうのは、DJの本分だよね。

や:みんなが好きな曲ばっかり、かければいいかっていうとそれもまたつまらないから、わざと「知らないかもしれないけどこういうのもいいよ」とか「次の曲に向けて地味な曲をかけよう」とか、時には「ついてこれるか?」っていうのをかけたり、そういうのもあるんだけど。でもやっぱ基本というか着地は、おもてなしで、the LOVEな気持ちで。

ス:the LOVEってタイトルが、もうそれしか無いなって思ったのが、音楽は関係なくても愛情表現の仕方に近いなって感じたから。愛情表現そのものでしかないと俺はDJやってて思うんだけど、そういう気持ちでDJやってるんだよっていうのがわかりやすいと思う。

や:内容を直接的に説明すると、例えばさっきも言ったように、こないだ3人で朝からB2Bやって「これがthe LOVEだ」って掴めたわけ。そういう分かちあえてる時間だけがずっと続いてるイベントにしたいなって。

ス:そうそう。そんな感じだね。どうすか、店長として。

石:素晴らしい。ほんとにこないだの朝の時間はすごい伝わりました。そのthe LOVEを感じ取ったんで。お客さんで来てた若いDJの子とか、原体験がないと思うんですけど皆くらってた。

ス:そういう若い子達が多いなって感じてるわけよ。でも多分the LOVEなパーティーが好きな子達はいっぱいいると思う。

や:そういうわけで結構長文だとは思うんですが、今年のりんご音楽祭に向けて、直接りんご音楽祭の話はできなかったですけど、沖縄onの話、そこまでの流れや人となり、あと僕たちがやってみたいなって思ってるパーティーのことが伝えられたと思うんで、とりあえずここまで。ご拝読ありがとうございました。

一同:ありがとうございました。

venue: Record & Music bar “on”

対談中の4人@on-2

美栄橋onにて3

yakenohara_sunnynewlife_yori_low●やけのはら
DJ、ラップ、トラックメイカー。『FUJI ROCK FESTIVAL』、『METAMORPHOSE』、『KAIKOO』、『RAW LIFE』、『SENSE OF WONDER』、『ボロフェスタ』などの数々のイベントや、日本中の多数のパーティーに出演。2009年に七尾旅人×やけのはら名義でリリースした「Rollin’ Rollin’」が話題になり、2010年には初のラップアルバム「THIS NIGHT IS STILL YOUNG」をリリース。2012年には、サンプラー&ボーカル担当しているバンドyounGSoundsで、アルバム「more than TV」をリリース。2013年、セカンドアルバム「SUNNY NEW LIFE」をリリース。DJとしては、ハウスやディスコを中心としたロング・セット、またTPOに応じた幅広い選曲でフロアを沸かし、Stones Throw15周年記念のオフィシャルミックス「Stones Throw 15 mixed by やけのはら」など、数多くのミックスを手がけている。雑誌「POPEYE」でのコラム連載や、YUKI、でんぱ組.inc、中村一義などを手がけるリミキサーとしての活動も行っている。
http://yakenohara.blog73.fc2.com
=Next Schedule=
■7月3日(金) DAIKANYAMA UNIT/SALOON/UNICE 11th ANNIVERSARY PARTY Featuring Dimitri from Paris @代官山 UNIT/SALOON/UNICE
■7月4日(土) the LOVE @沖縄・美栄橋 on
■8月9日(日)LEF!!! YOKOHAMA!!! x HEY MR.MELODY @横浜 MOVE
■9月26日(土)・27日(日) りんご音楽祭2015 @松本 アルプス公園

kimprof●KIM (Ku’Damm)
その昔、沖縄で「DENKIROK」という企画を主催し、とある浜でテクノレイヴと称し24時間ほど駆け抜ける。数年後「レイヴ」という単語の独り歩きを経て、浜使用の許可が下りずに継続ならず。「シラフなのに記憶がない」という開催の思い出と共に一旦幕を閉じる。
外が無理なら中でやるわ、と晴れてクラブに復帰。那覇の熱血社交場で偶数月の第1土曜日に「Ku’Damm」を開催。照明と映像と空間を使い、クラブならではの表現を試行錯誤中。多種多様なダンスミュージックを駆るアーティスト達を全国から呼び寄せ、フロアとブースを行き来している。
DJスタイルは拾い食い。テクノとヒップホップ、エレクトロニカとテキーラが好物。そして乾杯!
Twitter https://twitter.com/DENKIROK
Soundcloud https://soundcloud.com/dj_kim
=Next Schedule=
■7月4日(土) the LOVE @沖縄・美栄橋 on
■7月10日(金) tropical nightout @沖縄・LOVE BALL
■7月11日(土) アラケモ。 @沖縄・熱血社交場
■7月18日(土) POSILIPO 1st ANNIV. @沖縄・瀬長島 POSILIPO
■7月18日(土) :onomono a.k.a O.N.O[THA BLUE HERB/STRUCT] × SATOL[MADBERLIN/STRUCT] @沖縄・OUTPUT
■7月19日(日) Tropical Ghetto@沖縄・恩納村 coconuts moon
■8月1日(土) Ku’Damm @沖縄・那覇 熱血社交場
■9月26日(土)・27日(日) りんご音楽祭2015 @松本 アルプス公園

kirayama●DJきらきら富山さん (Ku’Damm / Record & Music Bar “on”)
富山出身、沖縄在住8年目。86年生まれ左利き。2007年、沖縄の伝説的レイヴ”message of love”で同年代の仲間と出会った事をきっかけにDJ活動を開始、以来、沖縄市コザの”音洞”や那覇市”熱血社交場”を始めとする県内各所のクラブ、ライヴハウス、海岸や路地などでプレイを重ねる。2012年1月に那覇市 栄町市場にシェアハウス、”ナハウス”を立ち上げる。居間にDJブース設置し、キッチンの戸棚からVJ映像を放射する日常⊂非日常パーティー”インナハウス”を主催。2014年3月より那覇市美栄橋・Record & Music Bar “on” 店長。
Record & Music Bar 「on」 http://www.on-okinawa.info
=Next Schedule=
■7月4日(土) the LOVE @沖縄・美栄橋 on
■8月1日(土) Ku’Damm @沖縄・那覇 熱血社交場
■9月26日(土)・27日(日) りんご音楽祭2015 @松本 アルプス公園

_T8A0444●dj sleeper (りんご音楽祭)
音楽のジャンル?はて、知りません。
クローゼットにあらゆる翼を仕込み、鳥になって空から街へ、山から海への大移動。
マジカルでミステリーな旅へと、ひとをも連れ出すのが趣味なのです。
未体験の景色を見るため魅せるため、自らパーティーオーガナイズ中。
りんご音楽祭 http://ringofes.info/wp_from2018
瓦RECORD http://www.geocities.jp/kawara_record/
Record & Music Bar 「on」 http://www.on-okinawa.info
=Next Schedule=
■6月27日(土)22:00~6月28日(日)22:00 瓦祭〜生誕11年〜 @松本 瓦RECORD
■7月4日(土) the LOVE @沖縄・美栄橋 on
■7月17日(金) NATURE DANGER GANGと食品まつりのWE ARE THE LEF!!! CREW!!!ツアー 信州編 @松本 瓦RECORD
■7月28日(火) リンゴノキニナル @渋谷 TSUTAYA O-NEST
■8月6日(木) リンゴノキニナル @京都 METRO
■8月15日(土) りんご!!!LEF!!!決起会!!!大阪!!! @大阪 TRIANGLE
■8月29日(土) りんご!!!LEF!!!決起会!!!東京!!! @代官山 UNIT/saloon/UNICE
■9月26日(土)・27日(日) りんご音楽祭2015 @松本 アルプス公園

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