2016.10.07TALK
「りんご音楽祭2016」 オフィシャルレポート(2016年9月24日、25日 長野県松本市アルプス公園)
先々週末の9月24~25日と二日間に渡り、晴天に恵まれた長野県松本市アルプス公園にて「りんご音楽祭2016」が、無事にすべての演目を終えました。
今年で8年目の開催となり、日本全国各所からポップ・ミュージックとアンダーグラウンドの垣根を越えて、数多くのアーティストが集結する地域密着型音楽祭の完成形として、新たな目標に向かい、テン年代の音楽シーンの歴史の1ページをめくる時間を体感出来たのではないでしょうか。
濃密なラインナップとタイムスケジュールの中から、幾つか今年の名場面を振り返ってみたいと思います。
先ずは、幅広い世代に「りんご音楽祭」の存在を知らしめる契機となった、加山雄三率いるTHE King ALL STARSの出演。Youtubeの再生が150万回を越えた、PUNPEEとのコラボで話題となった「お嫁においで2015」を、ライブセットで初披露!
このバージョンの制作にアドバイザーとして関わったカレー屋まーくんと、即完売を記録したアナログ盤のB面でリミックスを担当したALTZが、ライブ前後のDJを担当するなど、随所で心憎い演出が施されておりました。
また、ニューアルバムに「りんご音楽祭」関連アーティストが多く関わっている、早見優が、圧巻の爽やかなステージを披露。そのアルバムに関わっている藤井隆、Apotheke、tofubeatsなどが前後のステージに出演する、音楽ファンのツボをおさえたタイムテーブルであった。
早見優のステージからの流れで、りんご音楽祭の初年度から長年サブステージを盛り上げてきた掟ポルシェが、藤井隆をメンバーに擁するDJユニット「DC BRAND’S」として、遂にりんごステージにて初のプレイを行なった。
そばステージには、まさかの!!!のYolo BiafraのDJ出演。The OTOGINASHI’Sや、KAKATO(環ROY×鎮座DOPENESS)など、新世代のヒップホップ勢を中心に、アダルトな魅力で艶をプラスしたG.RINA & Midnight Sunなどが出演。最多客演を成し遂げたPUNPEEを「りんご音楽祭2016」初日のトリ迎え、大盛況を極めました。
加えて、BOREDOMSのDJ EYEからDJ NOBUと繋がるおやきステージは、完全なるダンスフロアと化し、わさびステージではNATURE DANGER GANGが狂乱のライブで締めくくなど、お茶の間から地下シーンまでを凝縮した一日となりました。
一日目の曇天から一転、見事な秋晴れとなった二日目は、りんご音楽祭のオーディションに参加してから4年、遂にりんごステージへの出演を遂げた水曜日のカンパネラが登場。
セクシーでオリエンタルな衣装に身を包んだコムアイが、会場全体を巻き込んだ一体感のあるステージを確立、最もシャッターチャンスの多かった瞬間に感じられました。
その後も、eastern youthからクリトリック・リス、THA BLUE HERB、そして奇跡の復活を果たしたあふりらんぽなど、息もつけないエモさ満開の並びでクラウドは感極まりながら、ジャンルの垣根を越えて実力派のアクトが熟練のライブを披露。
そばステージは、ソロにも関わらずスケール感のある演奏で魅了した青葉市子や、腰に響く低音と浮遊感で美しきフィナーレへの流れを決定づけたPolaris、アーバンな夕暮れを彩った一十三十一からSugar’s Campaignを経て、トリは大人気のサイプレス上野とロベルト吉野で大団円となった。
おやきステージは、オーディションから参加のローホー、WATT a.k.a ヨッテルブッテル & DJ MUから既に大入りとなり、地元は信州信濃のラップマシーンYOU THE ROCK★ & DJ DA-15、そして初登場のZEN-LA-ROCKで入場規制となった。そして、ロベルト吉野 a.k.a DAVE93、DOTAMA、呂布カルマ、Campanella、C.O.S.Aというフリースタイルダンジョンのヘッズと、名古屋勢には堪らない流れで常時大盛り上がりとなりました。
仙台から駆けつけたGAGLEは、歴史に残るライブに。名曲「屍を超えて」での大合唱は、名場面としてあの時間を共有した皆さんの心に刻まれた事でしょう。
りんご音楽祭のエントランスとも言えるVOIDのスピーカーが設置された、きのこステージもアンダーグラウンドでディープな独特のムードを醸し出してました。
沖縄よりDJ HIKARU主催「O.K.? Tropical Ghetto.」を招聘。赤土のライブタイムは、まさに沖縄LOVEBALLのフロアと化し、エクスペリメンタルでありながらも南国のノリをダイレクトに表現した、沖縄オリジナルのヒップホップ魂を感じさせる時間に。
続いて、きのこステージのトリを飾った「しぶや花魁 loves metamorphose」では、ヴィーナス・カワムラユキから始まり、デリック・メイのレーベルからのリリースで話題のHIROSHI WATANABE a.k.a KAITOから、伝説のテクノイベント「メタモルフォーゼ」主宰のDJ MAYURI、日独テクノ外交官のTOBY、そして長野のシーンを支えるOKIへと、テクノ全盛期の熱気あるフロアにタイムスリップ!
そんな二日間の夢のような時間、そして現代の音楽愛を総括するような、りんご音楽祭主宰のdj sleeper自らによるDJタイムは、困難な時代の中に於いて束の間の多幸感の結晶であり、この音楽祭を支える感性の軸であると、決定づけた時間だったと感じています。
そして先ほど、りんご音楽祭の公式サイトにて、カメラマンチームの撮影によるフォトギャラリーと併せて、加山雄三さん含む100を越える出演アーティストからの感想メッセージの公開がスタート!
http://ringofes.info/wp_from2018/talk/aftercomment/
text by ヴィーナス・カワムラユキ(しぶや花魁)