【りんごよりみち】「ハプニングを求めて、今夜もパーティーに繰り出そう」 〜パウラと歩く松本〜
野外音楽フェスなのに、「街」に近いフェス、りんご音楽祭。本連載「りんごよりみち」では、松本在住のりんご音楽祭出演アーティストに街案内をしてもらいます。
第10回のゲストは、2023年からりんご音楽祭のデザイン全般を務めるデザイナーのパウラさん。パウラさんは、「パーティーキャッチャー」を自称するほど松本のあらゆるパーティーに出没しており、自身もDJとして活動しています。
Paula BAILE FUNK DJ。まばゆいエネルギーの光輪しょって、 爆キュートに爆速音でフロアを爆あげ。 修行好きな天才、ミラクルオールラウンダー。One of 未活動ユニット「マグナムバディーズ」
松本の街を歩きながら、「つまらない街」だと思っていた松本が大好きになるまでのストーリーを聞きました。
1. 街の一軒目としても、お家でのリラックスタイムにも。ワインショップ「景色」
パウラさん 「景色」は、パーティーに行く前の一軒目や、パーティーとパーティーをはしごする合間にちょっと立ち飲みするお店です。「一旦景色集合で!」って待ち合わせに使うことも多いです。多いときで週1~2回は来ているかも。
――いつもパウラさんは何を注文しているんですか?
パウラさん 私は最近オレンジワインにハマってて、一杯目はだいたいオレンジワインをグラスでいただくことが多いかな。もともとそんなにワインに詳しくなかったんだけど、「景色」に来るようになってからワインが好きになって。レモンサワーとか、クラフトビールもあるよ。
――じゃあ私はオレンジワインをいただこうかな。
パウラさん 私は今日は車で来たから、りんごジュースにしようかな。乾杯!
――乾杯!
パウラさん 今日は早めに来たけど、普段は18~19時ぐらいに来ると誰かしらが飲みに来ていて。「おっ、やってる~?」ってちょっとおしゃべりできるんだ。「瓦RECORD」(※2024年に閉店した、女鳥羽川沿いの古民家パーティーハウス)があった時は、パーティーの合間にちょっと抜けてここで飲み直すこともあったな。今も「give me litte more」に行く前後でよくここに来てるよ。
――店内から見える景色もいいですね。
パウラさん ね!女鳥羽川、いいよね。川沿いを歩くいろんな人をぼーっと眺めていると、「いい街だなぁ」って心が落ち着くよ。
――ここではワインのボトルも買えるんですね。
パウラさん そうそう。仕事が忙しくて「景色で飲みたいけど飲めない!」って時は、ボトルを買って「おうち景色」をするんです。ラザニアとか、ワインに合うお料理を作ってみたりして、映画を観ながらワインを飲むの。
――充実した休日!
パウラさん でも、やっぱり一番はここで街の誰かと会えることかな。「今日どうしようかな、一杯飲みたいな」みたいなときに、「景色」の前を通ると窓越しに誰かが飲んでいるのが見えて、もう光にスイスイ寄せられる虫みたいにするっと中に入っちゃう!
2.遊び心のあるアイテムがたくさん!文房具・雑貨のセレクトショップ「ink stain」
パウラさん 「ink stain」は、私の大好きなステーショナリーと雑貨のセレクトショップです。私がお金持ちだったらお店にあるもの全部買い占めちゃいたいくらい、ラインナップが最高で!
私、小さい頃から文房具が本当に好きで。実用性はともかく、「かわいい!」と思う魅力があったらすぐに買っちゃう。使ってないノートとか、家にたくさんあるんですよ。「打ち合わせのメモとして使おう!」って思って買ったのに、結局使わずに飾ってあるとか、あるあるです。
――「ink stain」は、2023年の「りんごよりみち」で店主の西牧さんに一度ご紹介いただきました。2024年は一度PARCOに店舗を移していたんですよね。
ink stain店主・西牧さん お久しぶりです、あれからもう2年も経ちましたね! 松本PARCOの閉店を見届け、2025年3月からはまたここで営業を再開しました。現在は一階のみの営業ですが、いずれ二階も売り場としてスタートする計画を練っています。
――「ink stain」の文房具は、どうやってセレクトしているんですか?
ink stain店主・西牧さん うちは、実用性を大事にしながらデザインがよいもの、というのを大事にしています。なるべく小規模なブランドのものや、大手のお店が選ばなそうなひと味違った文房具をセレクトしていますね。それから、ずっと昔から作られている変わらないもの。最近はレトロな文房具にちょっと凝っていて。閉店してしまった昔ながらの文房具屋さんのデットストックなども仕入れています。
パウラさん 見て見て、キラキラめがね! かわいいよ! あっ、魚のシールがある。恐竜も!かわいいなぁ。うーん、やっぱりink stainはお店を見るだけで楽しいなぁ。
ink stainの店員さん 恐竜お好きなんですか? 最近入荷した、恐竜のペーパークラフトがあるんです。ご案内してもいいですか? 紙メーカーが作っていて、恐竜のゴツゴツした肌の質感も味わえるんです。ティラノサウルスとモササウルスがあって。
パウラさん え~!モササウルスがいいです!
――モササウルス……?
パウラさん 水の中にいる恐竜で、かっこいいの。わぁ、これください!やったぁ、今週末はパーティーに行かずに家でこれを作ろうかなぁ。
3.温泉嫌いを克服できた思い出のパワースポット「ホットプラザ浅間」
パウラさん デザインの仕事で行き詰まった時によく来るパワースポットが、天然温泉「ホットプラザ浅間」です。日帰り温泉施設で、大浴場が広くて露天風呂もサウナもあるし、10時から24時まで営業してるのもありがたい!
――松本は車でサッと行ける距離に温泉がたくさんあっていいですね。
パウラさん 「瓦RECORD」で朝まで仕事をした翌日なんかに、スタッフのみんなで一緒にリフレッシュに来てました。温泉に浸かって、二階の休憩所でだらーんと喋るのが最高で。でも実は私、昔は温泉が好きじゃなかったんです。
――そうだったんですか。
パウラさん 私はブラジルで生まれ育ったんだけど、ブラジルにはいわゆる公衆浴場の文化がなくて。日本に来てから、中学校の修学旅行で「今日はみんなで温泉に入ります」って言われて、「なんでみんなと一緒にお風呂に入らなきゃいけないの!?」ってびっくりして、トラウマになっちゃって。でも、りんご音楽祭のおかげで温泉嫌いが克服できたの。
――りんご音楽祭がきっかけで?
パウラさん りんご音楽祭でスタッフをやった最初の年、打ち上げのあとにsleeper(※りんご音楽祭の主催者)が「みんなで温泉に行こうよ!」って言い始めて。「みんなのことは好きだけど、温泉には知らない人もいるだろうしイヤだなぁ」と思ったんだけど、「これも新しい体験だ!」と思って行ってみることにしたの。そこでsleeperが連れてきてくれたのが「ホットプラザ浅間」で。
パウラさん 恐る恐る温泉に浸かってみたら、「あれ、こんなに気持ちいいんだ」って。露天風呂も初めてで、「裸で外にいるなんて大丈夫かな」って不安だったけど、慣れてきたら青空の下でお湯に浸かるのがすごく気持ちよくて……。
――温泉のいいところに気づけたんですね。
パウラさん サウナも初めて入って。「何なんだ!暑い!」って数分で出たんだけど、一緒に行ったみんなが「水風呂に入ると気持ちいいよ」って教えてくれて。「せっかく温まったのに矛盾すぎませんか??」と思いながら入ってみたら気持ちよくて、気づいたら2時間くらいサウナと水風呂を往復してたの。あの時一緒に温泉に行ったみんなのおかげで、私の中のお風呂文化が変わったんです。
――いい話……!
パウラさん 中学生の時は、本気で「温泉なんてもう一生入らない!!」と思っていたけど、今は松本中のいろんな温泉に入りに行っています。旅先でも、温泉があったら絶対入ってる。こんなにハマると思ってなかった。「温泉を好きにならせてくれてありがとう!」という気持ちもあって、「ホットプラザ浅間」は私のパワースポットだね!
4.街の社交場情報をキャッチ!「mootooメディア」
パウラさん 最後に案内するのは、私が松本の街に入っていくきっかけになった場所、「マーズモー」です。りんご音楽祭の仕事をするようになったのもここがきっかけ! ミキちゃん、来たよ~!
ミキさん パウちゃ~ん!待ってたよ!
――ここはどんな場所なんですか?
ミキさん 「マーズモー」は、言うなれば多目的カルチャー倉庫です。芝居の稽古小屋があったり、音楽スタジオがあったり、バーがあったり。その一角に、私のデザイン事務所があります。パウラちゃんは、以前ここでアシスタントをしてくれていたんです。
パウラさん 20代前半の頃に、デザイナーを目指して職業訓練校で勉強していたんだけど、未経験のデザイナーを雇ってくれる会社ってほとんどなくて。当時通っていた整体の先生に相談したら、「うちの看板を作ってくれたデザイン事務所が、アシスタントさんが辞めたらしくて募集してたよ」って教えてくれて。それがミキちゃんの事務所だったんです。ここで一年間アシスタントとしていろいろ勉強させてもらったおかげで、デザイナーとして独立できました。
――そんな出会いがあったんですね。当時のパウラさんの印象を覚えていますか?
ミキさん 覚えてるよ!ピンクの髪でオーバーオール着て「こんにちは~!」ってやって来て。もう、会った瞬間に「この子だ!」と思いました。アシスタント採用の面接だったけど、仕事の話は全然しなかったね。「履歴書もいらないから、一緒にやろう!っていうか明日遊ぼう!」って誘った。とにかくポテンシャルを感じたんです。
パウラさん その週末、たまたま「SONIC」でHIP HOPのパーティーがあったんだよね。「よかったら遊びに行こうよ」って誘ってくれて。高校の時は軽音同好会でバンドをやってたんだけど、卒業してからは何もやってなかったからライブハウスとかもあんまり行ったことなくて。「なにこれ、漫画の世界みたい!松本にもこんなところがあったんだ!」って衝撃を受けて。
ミキさん たしか、その次の週も「瓦RECORD」のパーティーに一緒に行ったよね?
パウラさん 行ったね!私、パーティーって全然行ったことがなかったから、みんなオープンと同時に行くものだと思ってて。会場に着いたら、古民家だし、靴脱いで入らないといけないし、ミラーボールがピンクに光ってで、でも誰も店内に誰もいなくてめちゃくちゃ怖かったのを覚えてる。「もう帰ろうかな……」って(笑)。
ミキさん そうだったんだ!(笑)
パウラさん たまたま顔見知りが来たからそのままいてみたら、だんだん「なんだこれ、楽しいぞ」って思ってきて。それまでテクノとかもあんまり聞いたこともなかったし、クラブに行っても「なんかずっと同じ音だな」と思ってたんだけど、「瓦RECORD」のパーティーはそうじゃなかったんだよね。松本に来てから、DJの印象がかなり変わった。
ミキさん そこからどんどんパーティーキャッチャーに育っていったよね。
パウラさん 正直、ミキちゃんと出会うまでそれまでは松本のことあんまり好きじゃなくて、「パルコしかない、つまんない街」って思ってた。たまたま親の仕事を手伝うために帰ってきたけど、地元の友達はみんな外に出ちゃってたし、遊び場所も見つけられなくて。今はミキちゃんが作った「mootooメディア」もあるから、さらに遊びやすくなってすごくうれしい!
――mootooメディアというのは?
ミキさん 松本で起きているパーティーやライブの情報をまとめたWEBメディアです。コロナ後に、ちょうど育児も落ち着いてきて、「さて松本への恩返しを始めよう」と立ち上げました。かつてのパウちゃんみたいな子が、「松本って何もない」って外に出て行ってしまわないようにしたくて。それから、旅行で来た人がローカルのパーティーをディグって「松本最高じゃん!」ってなればうれしいよね。
パウラさん この間、ほんとに「moootooメディアを見た」って観光客の人が「カーリーレコード」のパーティーにやってきたことがあったよね。
ミキさん そうそう!トム・クルーズみたいなお兄さんだったよね。「どうやってここまで来たの?」って聞いてみたら、「知り合いに縄手通りのエルボールームを勧められて、そこで『おもしろいイベントはないか』って聞いたらmootooメディアのことを教えてくれた」って。大正解です!そうやって松本で遊んでくれる人がもっと増えたらうれしいよね!
後半は、ブラジルから松本へ移り住んだ子ども時代から、「つまらない街」と思っていた松本が大好きになるまでのストーリーをじっくり聞きました。
ブラジルから松本へ移り住んだ子ども時代
――改めて、パウラさんは普段何をされているんですか?
午前中は実家の養鶏場の仕事、午後は個人のデザインの仕事、夜は不定期で「カーリーレコード」のバーカウンターで働いています! まだまだ修行中ですが、パーティーでDJをすることもあります。
――パウラさんはブラジルで生まれ育ったとお聞きしました。松本に来たのはいつからですか?
小学校を卒業するまでブラジルにいて、中学校に上がるタイミングで日本にやって来ました。最初は滋賀県の長浜市に行ったんです。そこにはブラジル人の派遣会社があったから、ブラジル人の子どもがたくさんいたのですぐに友達ができてパラダイスだった!
でも、中学の途中から松本に引っ越すことになって、公立の学校に転校して。日本語はまだ勉強したてだったから、言葉がうまく通じないし文化も違うから、わけもわからないまま先生にすごく怒られたり、クラスの子たちにからかわれたり。毎日つらくて地獄だった。「中学校を卒業したら一人でブラジルに帰ろう」と思っていました。
でも、向こうに帰ってもまた中学校一年生からやり直し。だから、一旦甲府のブラジル人学校に通い直すことにしたんです。
そこで出来た友達が、日本生まれ日本育ちのブラジル人の男の子で。「俺が日本語教えてやるよ」って日本語を教えてくれて。「せっかく日本語を覚えたし、このままブラジルに帰るのはもったいない」と思い直して、「日本の高校に行かせて下さい」って親にお願いして、1年遅れで松本の高校に通うことになったんです。
――そんな背景があったんですね。
日本に来てから、漫画とアニメにハマってずっとオタクをしてたんだけど、高校に入ってからはオタクの友達ができて楽しかった! 軽音同好会に入って、友達とバンドを組んで文化祭で発表したり。
高校を卒業してからは、漫画家を目指して東京の専門学校に入りました。学校に通いながら、漫画家の先生のアシスタントをして。でも、3ヶ月くらいアシスタントをしたらほぼ全部の作業を覚えちゃったし、「私には面白い話が描けないな」って思っちゃって。漫画家を目指すのを辞めて、そこからは東京でしばらくフラフラして……。
20代前半くらいで、親に「松本で開業するから帰ってきて手伝って欲しい」って言われて。東京でやりたいこともなかったし、松本に帰ってきた。
――大人になって、再び松本に帰ってきたと。
「松本の遊び場はどこなんだろう?」と思って調べてみたけど、全然出てこなくて。「松本ってつまんない街だなぁ」と思いながら、一人で上土の映画館で映画を観て、丸善で漫画買って、イトーヨーカドーのフードコートで山盛りポテト食べて「あー今日も遊んだなぁ」って家に帰ってた。
当時私はゴスロリをやっていたので、mixiで「ゴスロリ会しませんか」って募集して、ゲーセンでプリクラを撮ることもありました。でもそれも飽きて、結局松本に帰ってきてから3年くらいは親の仕事を手伝いながらデザインの勉強をして、週末はいつも東京で遊んでた。
――3年間も!そしてようやくミキさんと出会って、松本の街に繰り出したんですね。
本当に、ミキちゃんと出会ってから私のパーティー人生が始まったね!
毎度コテンパンにされては、次の現場へ
――自分でもDJを始めたのはどうしてですか?
松本で遊び始める前は、DJってただ音楽をかけてる人たちだと思ってたんだよね。でも、パーティーに行くようになると、自分で音源を作ってる人がいるとか、音同士が混ざって違う音になっていくのがわかってきて。
「私もやってみたいな」と思ったのは、soくんのDJを見たからだと思う。「なんでこんな音出せるの!?」って衝撃を受けて。sleeperに「私もやってみたい!」って相談して、チャンスをもらったの。
――好奇心がきっかけだったんですね。実際にやってみた手応えはどうでしたか?
やっぱり「瓦RECORD」で鍛えられたなあ。初めてDJをやらせてもらったとき、「音が大きすぎ!これじゃ警察が来ちゃうよ!」って怒られたんだよね(笑)。
「好きな曲を好きなようにかければいい」「音がでかければでかいほど盛り上がる」と思っていたから、そうじゃないんだ!って気づいて。
「じゃあ次は音に気をつけてやるぞ!」って次の現場に行っては、またコテンパンにされて。
――コテンパンにされるというのは……。
ほかのDJの人たちを観て、「うわー、私ってただ音を垂れ流してるだけじゃん」ってって打ちのめされるんです。
たとえば、「ここはドリンクを買うタイミングだからちょっとスローテンポに」とか、「ここでいっちょ盛り上がるぜ!」って早めの曲を入れたり、ディープな曲を入れたり、みたいなことが私はまだまだ出来なくて。
それで、そういう場の空気の作り方も含めて上手い人を見て、「私全然ダメじゃん!」って。あとは、直接言ってくる人もいるしね。「自分ではできてると思ってるかもしれないけど、ここが足りてないよ」って。
――結構厳しいですね。
でも、厳しめなアドバイスしてくれる人がいるってありがたいよ~!「めちゃくちゃいいけど、ここもうちょっと意識した方がいいよ」とか、丁寧に解説してくれる人もいる。
「何年やってても全然成長しないね!」ってザクザク刺してくる人もいたけど。私はポジティブシンキングだから、そういうのも全部「私に期待してるからそう言ってくれるんだろうな!」って思う。じゃなきゃここまで続かないですね。最近は、「ついてこれる人はついてきてください!」って気持ちでいます。
未だに、みんながどうやってあんなすごい音を出してるのかわからない。でも、それが不思議だからずっと続けられているのかも。パーティーに行けば行くほど、新しいDJモンスターが出てくるんです。「この技、どうやってるの!?」「何使ってるの!?」って驚いては、そこから自分もまた吸収して……の繰り返し。だからやっぱり松本って面白い街だなって思う。面白い人がいっぱいいるんだもん。
――パーティーに出会って、つまらない街が面白い街に。
松本には本当にいろんな人がいるから、すごくいろいろ勉強になる。違うジャンルのパーティーに誘われて、そこから新しい出会いとか発見があったりするし。次々と試練が与えられるから、それを乗りこなしているうちに、一年が経って、また一年が経ってる感じ。
松本のパーティーって、集まってる人たちがオールジャンルなんです。「ロックだけ」「HIP HOPだけ」みたいに、ジャンルで分かれていないというか、縄張りみたいなのがあんまりない。「楽しそうなら行く」って感じ。全然違うジャンルでも、何か共通点を見つけてはみんなが一緒に遊んでる。
いつの間にかりんご音楽祭に巻き込まれていた
――りんご音楽祭のことを知ったのも、ミキさんと出会ったからですか?
そうだね。もともと、ミキちゃんがりんごのデザインチームを率いていた関係で、2018年にりんご音楽祭に普通にお客さんとして遊びに行ったのが最初かな。
私、それまでフェスに行ったことがなかったし、松本でフェスをやってたことも全然知らなかったんだ。最初に「りんご音楽祭」って聞いたときは、りんご農家さんのお祭りなのかと思った。「音楽聴きながらりんごを収穫するのかな?」って。
だから、会場に着いた時は本当にびっくりしたよ。アーティストもたくさん出ていたし、お客さんの数もすごく多かった。めちゃくちゃ楽しく遊んではしゃいでベロベロになったなぁ。それに、会場のどこに行っても松本の街の人たちや友達がいるのも驚いた。街の社交場って感じだった。
私が「遊び場がない」って街をさまよう前に、高校生の頃からりんご音楽祭のスタッフをしていた同年代
の松本出身の子達もいるから、「私ってほんとに松本のこと知らなかったんだなぁ」と思ったよ。
――そこからりんご音楽祭の運営側になるにはどんな経緯が?
ほんとに「気づいたら巻き込まれてた」って感じかな。
初めてりんごに行った年に、終演間際に当時の「瓦RECORD」のスタッフの子が、「このあと瓦RECORDで夜の部があるのに現場の仕事が終わらない!」って困ってて。私、暇だったから「開店前の準備だけしに行こうか?」って引き受けたの。それで掃除機かけて皿洗いして……ってやってたら、流れで夜の部も手伝うことになって。そこから、sleeperに「普段もスタッフとして入ってよ~!」って頼まれて、っていう流れ。
そこからりんご音楽祭のスタッフもやるようになって、グッズも作るようになって、デザインもミキちゃんから引き継いで……。フライヤーはもともと作ってたけど、フェスの全体のデザイナーなんて経験なかったから本当に鍛えられたね。もう目がぐるぐる回っちゃう。「逃げない!」って決めないと向き合えない仕事です。
ハプニングを求めて、今夜も松本の街に繰り出す
――養鶏場の仕事、デザインの仕事、バーカウンターの仕事にDJ、りんご音楽祭、パーティーキャッチャーと、パウラさんのエネルギーや創作意欲は何で保たれているんですか?
保ててな~い(笑)!無理してるよ!けど、みんなに会いたいし、楽しくなりたいからパーティーに行ってるの。
どちらかというとインドアなタイプではあるんですけど、ずっと家にいるとじめじめーっとしてきて、「このままだとキノコが生えちゃう!」「人と喋れなくなっちゃう」みたいな気分になっちゃうの。
あとは、パーティー自体もそうだけど、パーティーハプニングが好きなんです。
――パーティーハプニング?
「パーティーに行きたい」というより、半分はハプニングを見に行ってるんだと思う。「何か面白いことが起きるかもしれない」っていう気持ち。あとから「こないだのパーティー、こんなことがあったんだよ」って話を聞くのが悔しい、みたいな。
「この人たち、仲良くなりそうだなぁ」と思ってた人たちがいつの間にかパーティーで出会って勝手に仲良くなってたとか、数年くらい見かけなくなった人が久々に顔出してきたとか、最近こんな子が街に出てきたんだとか。そういうシーンを見るのがすごく楽しくて。やっぱりパーティーって松本の社交場なんだよね。
「今日は疲れたな、行くのやめようかな」って日もあるけど、「でも行けばなにか起きるかも」ってなんだかんだ行ったらやっぱり元気になれる。誰かに会ったりとか誰かと話したりすることでエネルギーを分けてもらってるんだと思う。
松本ってほんとに楽しいからね。「つまんない街」なんて言って本当にごめんなさいって今は思うよ。私が松本に出会えていないだけだった。松本、ありがとう!!
――パウラさん、今日はありがとうございました。また松本の街で会いましょう!
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取材・執筆:風音
撮影:Naka Hashimoto

















